
神の言葉が嘘になる時があるとしたら
それは君が信じなかった時だけ
■2巻発売です。
どこまでも続く満点の星空。見渡す限りの満開の花々。ここは、何人も手が出せない、神の箱庭。そんなところに、願いごととひきかえに「ひきこもりを連れ出す」という条件で神に送りこまれた、1人の青年・ハインツ。その彼が神の箱庭で出会ったのは、全てに絶望し、全く動こうとしない青年・ガニュメデス
うーむ、なんとも説明の難しい作品でございます。主人公となるのは、送りこまれた青年・ハインツではなく、神の箱庭に閉じこめられてしまった人間・ガニュメデスと、閉じこめた神・アポロン。神として存在する、代わり映えのないつまらない日々。暇を持て余したアポロンは、ほんの気まぐれで神の箱庭に、遺跡の王子・ガニュメデスを閉じこめてしまいます。満天の星空と、見渡す限りの満開の花々。この空間には汚いものも時間も何もありません。ただ星空と花々はあるだけ。逃げ出すことも出来ない、歳をとることも出来ない、そして死ぬことも出来ない。始めあった希望はやがて絶望に代わり、憤りすら起こらない、無力感へとガニュメデスを誘います。

一迅社らしく絵に華があり、見ていて気持ちいい。人物自体に動きはないものの、エフェクトをつけるのが上手いので、飽きはこない。
発端は、「暇を持て余した神々の遊び」というところでしょうか。暇があるから、時間があるからこそ思考をしてしまうという。とにかく理屈をこねくり回すような、文学チックで哲学チックなお話。印象としては、「スパイラル」なんかが近いでしょうか。会話だけで、出口の無さそうなお話ではあるのですが、途中からアポロン以外の神も登場。やがて物語は神話的な方向に進んでいく…よね?出口も時間もない空間に幽閉されたガニュメデスは、不幸というほかありませんが、なんの理由・意味もナシに人間を幽閉することはありません。「退屈しのぎ」と言いつつも、なんとなく人間の可能性に懸けてみたくなったのではないかな、という感じを受けました。まぁそれすら小さな範囲でのお話ではあるのですが。神話的に大きく展開する気配を見せつつも、落ち着くのは結局そこかな、と。ならば私がこの作品を評するとしたら、まさに「退屈しのぎ」に読むのが一番良いのではないのではないかな、と思います。貶めているわけはもなく、そういう思考に充てる時間と余裕を持ってこそ、この物語をより楽しめるのではないかな、と。
【男性へのガイド】
→男性にも十分読めるでしょう。ただ登場するのは性別など超越した「神」という存在ですから、キャラ的な意味ではとっても無味。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→落としどころはどうするのだろう、という印象。だらだらやってても、こちらが退屈してしまうよ、と。ただ絵が非常にきれいなので、雰囲気が好きな人は少なからずいるはず。
作品DATA
■著者:あき
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM WARD(平成20年Vol.18~連載中)
■既刊2巻
■価格:各552円+税
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