
横浜は初めて3年以上住んだ街で……
さよならに負けない
出会いがあるって知った街
■1曲が紡ぐオムニバスシリーズ。というわけで、1話目をご紹介。
この街に来たのは中2の時。そして高2になった今、再び転校し、この街を離れようとしている。転校には慣れているけれど、3年以上住んだこの街を離れるのは、なんだかとても寂しい。そんな南に「good-bye & hello」という曲を手渡したのは、南の親友・理亜の元カレである、世良。別れの先には、幸せな出会いが待っているというその曲が、今の自分の心にやけに沁みる。その時になって南は、ずっと抱えていた世良への想いに気がつくが…
横浜を舞台に、「good-bye & hello」という一つの曲が紡ぐ、恋のオムニバスシリーズです。お嬢様学校に通う生徒4人の恋模様を、一つの曲にのせて送ります。第1話は、親友の元カレへの恋心と親友への気遣い、そこに転校によるタイムリミットを絡め、切なく瑞々しく話を進めます。2話は、その親友が、家庭教師へ淡い想いを抱くというお話。3話目は、他校に通う中学校時代からの友達が好きな子を描き、4話目は自分のKYっぷりに思い悩む女の子がヒロインのお話が描かれています。

若いがゆえの、ちょっぴり行き過ぎた行動。その辺の描写が抜群に上手い。
すべてのヒロインに共通しているのが、何かしらの「悪さ・弱さ・曖昧さ」を見せている所。少女漫画に関しては、ことヒロインが全て正しいかのようなお話が展開される事があるのですが、この物語にはそんな要素はこれっぽっちもありません。だからといって相手や脇役が正しいかというと、そうでもない。全ての登場人物が、なにかしらの弱さや曖昧さを抱えており、だからこそ、したくもないのに感情移入してしまうという構造が成り立っています。特にヒロイン達は10代で、10代ゆえの真っ直ぐさと残酷さを同居させているわけですが、この作品ではその辺の描き出しが上手いなぁ、と。例えば1話目で、親友・理亜が彼氏と別れる際、彼が別に好きになった相手(南)に「告白しない」ことを約束させて別れる辺や、3話目で「もう会わない」と宣言し、着信拒否までしてしまう辺は、いかにも10代の恋愛にありがちな、「ワケの分からないルールを、さも正当であるかのよう遵守してしまう」部分が出ていて、思わず「あるある(笑)」と。10代の恋愛って、取りようによってはもの凄く残酷ですよね。理亜の1話目最後の台詞
「最後に親友から一言
「好きなら好きって言え」よ! 」
とか、お前が今更言うなよ!という感じでしたが、これもまた青春。こうするしか、こう言うしか、選択肢はなかったのです。
また、こういった展開の割に、どの話も最後はあっけないほどハッピーエンドに落ち着くあたりは、やっぱり少女漫画なのだなぁ、という感じを受けました。ここでハッピーに持っていかなければ、個人的には最高なのですが、それだと読者が離れちゃうんだろうなぁ。作品全体としてのまとまりも今ひとつ…と思ったら、各話の掲載時期がかなり離れているんですね。たぶんこの影響が強く出てしまったのでしょう。短期連載だったらば、(タイトルが「グッドハロー」だとしても)もっと違う展開も見れたのか、と思うと少し残念ではあります。
【男性へのガイド】
→オチは男性向けではない気がします。雰囲気自体は読みやすそうではありますが。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→結局は「普通のありがちな少女漫画」かなぁ。過程は目を引くものがありましたが、オチに持っていくまでの強引さでそれがかき消されてしまったというか。いや、こんな感想は男だからこそなんでしょうけど。
作品DATA
■著者:和田尚子
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:デラックスマーガレット(平成19年7月号,11月号,平成20年3月号,平成21年7月号)
■全1巻
■価格:400円+税
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