このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [オススメ] 2009.01.29
恋したがりのブルー藤原よしこ「恋したがりのブルー」


くすぐったい うれしい 苦しい 痛い
名前のつけられない 気持ちで
胸が ぎゅっとなる



■4巻発売です。
 「オレの彼女になってくれないか」高校の入学式に向かう通学路で、見知らぬ男の子に頼まれた蒼。彼の名前は陸。話を詳しく聞くと、フリだけのウソの彼女で良いと言う。突然の出来事にあっけにとられる蒼だったが、陸と何度か会ううちに、そうする理由が見えてきた。陸が、親友の彼女を想っているとその親友が勘違いして、二人は別れてしまった。その責任を感じた陸は、二人を復縁させるため、ウソの彼女を作って親友を安心させようとしているのだった。そのことを知った蒼は、ウソの彼女を引き受けることにしたが、だんだん陸に本当に惹かれるようになって…。
 
 極上の切なさと優しさに溢れる4角関係もの。ウソの彼女役を引き受けた蒼。その相手で、明るく元気で子供っぽい陸。陸の親友で、優秀で女子に人気のある海。そして、蒼が学校に入って初めてできた友達・空。話の流れ的に、当然親友・海の元彼女というのが空なわけですが、始め蒼はそのことを知らず、海とは陸つながりで、空とは同じクラスということで仲良くなります。ウソの彼女を続けるうちに、本当に陸に惹かれるようになっていく蒼。そして、同じ中学で、気まずいまま止まっていた3人の気持ちも、これに呼応するようにまた動き出す。4角関係ものですが、決してドロドロには見せません。蒼の明るさによる所が大きいのかな。しかし良い子だ、蒼は、ホントに。

 藤原よしこ先生の描くキャラたちはとても説得力があり、本当に魅力的。そのため、些細な話でも、すごく入り込んで読んでしまいます。また、悪者を作らない所も素敵な所。悪意を持ったキャラを作れば、話は展開させやすい。けれど、本当に人を苦しめるのは、明確な悪意よりもむしろ、優しさや思いやりだったりするもの。だからこそ、もどかしくて、せつない。


【オトコ向け度:☆☆   】
→少女マンガですね。でも、少女マンガだからこそこの切なさを描けるんだと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】
→去年一番ハマった作品がこれでした。切ない話が好きな方、ぜひ一度読んでみてください。


作品DATA
■著者:藤原よしこ
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!(2007年10月号~連載中)
■既刊4巻

Amazonで購入する

カテゴリ「Cheese!」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。