
自分でもよくわかんないけど
さっきから笑顔が止まらない…
今 すごく幸せ
こんな気持ち初めてかも…
こんな気持ちになれたのはきっと…
ふたりのおかげだね
■野々原ののは、現役高校生の少女漫画家。授業の合間を縫って仕事をする彼女の元気の源は、学校一のイケメン3人衆を拝むこと。ただ見ているだけで、十分満足、元気一杯、それだけで仕事がはかどります。そんなある日、いつも通り図書館で漫画を描いていると、そこに件の3人組が。突然の事態にドキドキのののだったけど、さらに原稿を3人に見られてしまい…!?
…そのままそれをネタにパシリにされてしまいました…という展開にはなりません。「オレ様キングダム」なんてタイトルなので、てっきり俺様キャラにヒロインが振り回されるお話だと思ってたんですが。えーと内容は、基本的には学園ハーレム。ヒロインは、高校生兼少女漫画家で、オタクッ気のあるのの。そんな彼女と行動を共にするのは、学校でも女子達の人気をさらっている3人組。プレイボーイの白馬くんに、カワイイ系男子・赤城くん、そしてクール系男子・黒沢くんと、タイプはしっかり分けられております。図書館での出会いをきっかけに、3人がののに興味を持ち一緒に過ごすことが多くなり、やがて彼女を意識する者まで出てくるように。そしてそれに呼応するようにののも、憧れでしかなかった想いが"恋心”に変わっていくことを自覚していくようになります。

一歩ずつ一歩ずつ、恋を覚えていく。ちゃおですから、テンポは良くとも非常に健全なラインで話が展開され、微笑ましいです。あとこれキャプってから気がついたんですが、パンツ見えてますね。ま、ささやかなサービスカットということで。
高校生という設定ではあるものの、ちゃお連載ということもあり、ノリ自体はいかにも低年齢向け少女誌という感じ。男子達は積極的だけどものすごく純情だったり、本命の相手の妹が人気の芸能人だったり。たぶん中学生という設定でもいけたんじゃなかろうか。それでも高校生としたのは、ヒロインが漫画家であるという設定に説得力を持たせるためでしょうかね。少女漫画家は、高校生でデビューなんて人も決して珍しくないですし。八神先生はどうだったのか知らないのですが、少なからず周囲にそういう方はいらっしゃるでしょうし、そういう意味で、物語の説得力というものは少なからずあります。
ただ漫画家設定を持ち込んでいる割に、ヒロインはその恋愛体験を仕事にそれほど生かそうとしません。恋愛と仕事のリンク・使い分けがあまりないというか、漫画家の方はあくまで軽めというか。描かれていないわけではないのですが、それほど印象に残らなかったんですよね。たぶんこれは、「少女漫画家の恋」を描こうとしているのではなく、「(漫画家もしてる)高校生の恋」を描こうという作者さんの意思にがあるからなんじゃないかな、と思います。八神先生の原体験かはわかりませんが、なまじこういう状況をリアルに経験(ないし伝聞)しているからこそ、物語において仕事が私生活にものすごく自然に混ざり込んでいるんですよね。逆に言えば、物語用に仕事とプライベートがセパレートされていない。それは「女子高生少女漫画家」というスタンスで読みはじめた人にとっては、肩すかしになってしまうのですが、そこから入らなければ、漫画家という要素がもの凄く自然に混ざり込んだ学園ラブコメという捉え方ができるわけで、ならば私はそちらからポジティブな評価をしたいな、と思いました。テンポも良く、デフォルメのバリエーションも多彩。読者層を考えると、非常に良い出来なんじゃないかな、と。無論私も楽しんで読むことができました。
【男性へのガイド】
→ノリも良く、カワイイです。低年齢向けのそういうお話が好きな方は。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→テンポ良し、キャラ良しの、低年齢向けの良作。オススメにはしませんが、結構楽しんで読めました。ちょっとクサいシーン多いけど。
作品DATA
■著者:八神千歳
■出版社:小学館
■レーベル:ちゃおコミックス
■掲載誌:ちゃお(2009年4月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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