
俺のこと楽しませてくれるんだろ?
なら まだまだ物足りんわ
のぅ?プロデューサー
■超弩級の田舎から、都会の高校へ進学した幼なじみ、嘉子とコウセイ。合格発表の時に「田舎者」と笑われたことがきっかけで、嘉子はコウセイを一大プロデュースすることを決意!磨けば光る一級品の原石だった彼は、嘉子に導かれ、瞬く間に学園のアイドルになった。思惑通りの展開に大満足の嘉子だったけど、なんだか最近は
一ノ瀬かおる先生のデビューコミックス登場です。ド田舎出身の幼なじみである、嘉子とコウセイ。「バカにしやがって…都会ッ子に負けん!」の闘志で、嘉子がコウセイをプロデュース。モデルは20年前の人気少女漫画「ロレンスのバラ」のロレンス王子。そのプロデュースが見事にハマり、コウセイは気がつけば学園のアイドルに成り上がります。しかし人気の上昇と共に、コウセイもセルフプロデュースをしたがるように。自分の手を離れて人気を獲得する幼なじみを前に、ヒロイン・嘉子はなんだかもやもや。でもコウセイにとっては、嘉子>人気なわけで、最後はキッチリ嘉子の元に戻ってきますよ、というパターン。

私だけの王子さまに溺れやがれ!と。なんだか華やかな衣装を身にまとっているのは、ヒロインの趣味でございます。
帯には「天下一品美少年、あなたの好みにプロデュース」と書いてあるのですが、話としては、ヒロインが幼なじみを自分の理想像(ロレンス)に仕立て上げて喜び、逆にそういかない時はもやもや…と、完全に自分(ヒロイン)好みにすることが目的となっており、ヒロインに感情移入できないとこの作品はたぶん楽しめません。プロデュースに関してコウセイは、そのリクエストを難なくこなしてしまうので、例えば「野ぶたをプロデュース」や「サイボーイ」(→レビュー)的な、ステップアップしたいけどできない…というもどかしさやコメディを楽しむという側面は薄いです。だとすると、軸となるのは幼なじみとのラブロマンスなのですが、コウセイは嘉子のことを想っているのは確定的。それに対し、鈍感なヒロインという構図で、果たしてどこまで引っぱれるのか。そういう意味で、「この想いが届くの?」的なドキドキ感はなく、どちらかというと「イケメンのかっこよさを独り占め的に堪能しましょう」という方向。これはもう好み次第という感じですね。
同時にヒロインもメガネで地味でありながら、磨けば光る原石だったりとという設定もあり。こちらがプロデュースしているという体でありながら、実はヒロインが相手役にプロデュースされちゃう…みたいな構図が埋め込まれている気もしなくはないので、もしそういう方向に進むのであれば、天晴。ただ現時点では、幼なじみに理想像を押しつける鈍感なヒロインが、感情と勢いに任せてコウセイを振り回すという、ヒロインに感情移入できなければどうしようもないという状況であり、オススメはなかなかしづらい。白泉社はたまにこういう雰囲気の作品を送り込んでくるけれど、こういった雰囲気の作品は、白泉社というよりもむしろ秋田書店でこそはまるようなイメージがあります。
【男性へのガイド】
→これは男性には難しいんじゃなかろうか。「ホスト部」(→レビュー)的な学園コメディとしてのノリの良さもないですし、なかなか。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→これだけプッシュされてるってことは本誌では人気なんですかね?私はちょっと食指が動かなかったです。プロデュースという要素がある作品だったらば、「サイボーイ」とか「笑うかのこ様」(→レビュー)みたいに笑いのある方が個人的には好みかな。
作品DATA
■著者:一ノ瀬かおる
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(平成21年1月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
■購入する→Amazon