
こんなことされたぐらいで
好きになったりしないんだから
■3巻発売です。
本田南央、16歳。大好きなまんがで得た知識のおかげで、友達の"恋愛指南役”として大人気。でも恋愛経験はまったくのゼロ。そんな南央の夢は、少女まんが家になること。中学から投稿を初めて、先日ついに佳作を獲得!担当さんがつくことになった。そんな彼女の相談相手は、すでにまんが家デビューを果たしているみゅーず先生。ある日、みゅーず先生の元にアシスタントに行くと、そこにはなぜか、同級生の苦手な男子・賢人がいて…!?恋にまんがにまだまだ駆け出し、デビュー目指して突っ走ります!
小学生の性教育をテーマにした「ないしょのつぼみ」(→レビュー)で話題のやぶうち先生の、ちゅちゅ連載作品がこちら。こちらは非常に少女漫画ライクな内容になっています。ヒロインは、クラスメイトから“恋愛指南役”として信頼の厚い、南央。しかし本人は恋愛経験ゼロ。アドバイスは、大好きな漫画からもたらされるもの。そんな彼女の夢は、少女漫画家になることで、中学の頃から投稿をし、デビューを目指しています。そして先日、ついに佳作を獲得し、担当がつくことが決定。漫画家として、一歩踏み出します。そんな彼女にアドバイスを送るのが、チャット友達でプロの漫画家であるみゅーず先生。その先生にある日アシスタントを頼まれ、仕事場に向かってみると、そこには苦手な同級生である賢人の姿が。なんと彼、みゅーず先生の従弟で、下僕という名のアシスタント業をこなしているというから驚き。その出会いが、その後南央を波乱に巻き込んでいくことになります。

さりげなく「ドキッ」とするシーンを描くのが上手いよね。この男の子の照れた表情がまた良し。
昨日ご紹介した「オレ様キングダム」(→レビュー)が、高校生がヒロインの学園ラブコメディに少女漫画家という要素を落とし込んだ作品だとしたら、こちらは全く逆で、女子高生少女漫画家の成長モノという土台に、恋愛要素を落とし込んだという構図。恋愛一本でどんどん進むのかと思いきや、かなりしっかりと漫画に関する描写を用意してきます。漫画家と同級生との恋愛、その二本軸でもしっかりと話が機能するのは、そのキャラ配置の秀逸さに依るもの。ヒロインの相手役となる賢人は、同級生でかつライバル(恋と漫画の)のアシスタント兼従弟。ライバルも漫画界にいるので、恋愛をある程度お仕事のフィールドで回せるという。しかもヒロインは漫画にかなり熱心で、賢人もまた漫画に熱心な性格と、実におあつらえ向き。肝心の恋愛描写に関しても、そこは実績のある作家さんらしく、非常に安定した展開で進行してくれます。上手いですね。
またヒロインにはちょっとしたトラウマを用意。それは序盤では発動させず、恋にはあくまで慎重な姿勢という進め方。一方の賢人も、かなりの照れ屋でオクテであるなど、その歩み方は非常にスロー。漫画と恋、どちらかのペースに引っぱられて双方流れが早く…なんてことはなく、しっかりバランスが取れています。総括すると、非常に少女漫画的な雰囲気が出ていて、かつ安定しており、オススメしたい作品だな、と。「オレ様キングダム」は大人でも楽しめるか微妙なラインでしたが、こちらは大人でも楽しめると思います、たぶん。
【男性へのガイド】
→「ないしょのつぼみ」に比べれば、男性の食指を動かしそうな要素は少なめ。とはいえ出来自体は良いので、やぶうち先生ファンの方はチェックしてみては。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ちゅちゅ連載なのにりぼん臭がする気も。漫画と恋、二本軸がバランス良くミックスされた良作だと思います。オススメで。
作品DATA
■著者:やぶうち優
■出版社:小学館
■レーベル:ちゅちゅコミックス
■掲載誌:ちゅちゅ(2008年5月号~連載中)
■既刊3巻
■価格:各400円+税
■購入する→Amazon