
本当に
人間は難しい生き物だね
■ここは「幽霊が見える」不思議スポット_かつかり村。その噂を聞きつけ、幽霊見たさにオカルト好きの観光客が訪れるが、来た人はみな「がっかり」して帰ってしまうという。その原因は、幽霊の見え方にある。怖いイメージとはほど遠く、みな姿がハッキリとしており、普通の人間と区別がつかない。それに加え、死んだことで様々な枷から解き放たれた彼らは、実に陽気。要するに、恐怖感ゼロなのだ。そんな「がっかり観光地」の観光センターで働く、真面目な性格の是光。観光地としてなんとか飛躍させたいものの、陽気できままな幽霊と所長に振り回され、今日もぐったり!?
綾瀬マナ先生のデビュー作になります。舞台は幽霊がハッキリ見える「ガッカリ観光地」・かつかり村。恐いもの見たさで訪れる観光客たちは、そのあまりにハッキリとした姿と、ケセラセラな性格の幽霊たちにガッカリして帰っていくという状況。そんなかつかり村の観光センターで働くのが、きまじめな性格の是光さん。落ちに落ちた観光地としての評判を取り戻すため、日々奮闘中。ところがなかなか結果が出ません。というのも、最大の売りである幽霊たちは、みな勝手気ままで協力してくれないし、なによりセンターの所長がとことん呑気。そんな気ままな所長&幽霊に振り回される是光さんの様子を、にぎやかな雰囲気で描いていきます。

これだけ日常に溶け込んでいるため、区別はつかない。明るい性格なら幽霊…みたいな認識でも、決して間違いではない。
表紙が非常に色鮮やかで、書店に並んでいてかなり目を引きました。購入しようか迷っていたのですが、表紙を見て即座に購入を決定。キャラの描き方なんかはびっけ先生っぽいですかね。さて内容なのですが、田舎の素朴な空気感をどこかに残しつつも、非常に個性的なキャラ達が好き放題に暴れ回るというかなり賑やかなものになっています。基本のラインはコメディですかね。明日発売になる岩本ナオ先生の「雨無村役場産業課兼観光係」を、もうちょっとビーズログ的にした感じ。
最終的には「人と人の繋がり」みたいなところに落としてきます。ただそこに行く過程では、とくに捻った所もなく、ちょっとあっさりしすぎな印象も。ストレートに表現するなら、そこに行くまでになにか捻った方が面白いのですが、完全には遂行できなかったのかな、という感じ。でも新人さんですし、これからいくらでも工夫はできるのか。それにこのストレートさが逆に読みやすさを引き出している気もします。舞台が田舎だったからなのか、ありがちなドタバタコメディとは一線を画す印象。新人云々関係なく、結構楽しめました。次はどんなお話を描いてくるのか楽しみですね。表紙を見てテンションが上がり、中身を読んでガッカリ…という作品が多いのですが、この作品は決して「がっかり」することはありませんでした。
【男性へのガイド】
→男性キャラメインなあたりは、やっぱり女性こそが楽しめるのかな、と。ただお話自体はかなり素朴なところに落とすので、ストーリー的な読みやすさはあると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→インパクトには欠けたものの、物語としてしっかり形にしてきたあたりはさすが。楽しみな新人さんです。
作品DATA
■著者:綾瀬マナ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B's-LOGコミックス
■掲載誌:B's-LOG(2009年4月号~7月号)
■全1巻
■価格:620円+税
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