このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [オススメ] [新作レビュー] [4コマ] 2009.10.09
07230376.jpg曙はる「ベツ×バラ」(1)


センパイって…
なんだかんだ
センパイですよね



■別所たまき(20)、お菓子のパッケージ会社「アマイ企画」入社2年目。社員平均年齢50歳、歳上だらけのこの会社で、制作室のエースとして常にやる気満々。そんな中、営業部に新入社員が。原田智哉(22)、敬語もままならないやや生意気な歳上の新入社員に飛ぶのは、歳下の先輩であるたまきからの愛のムチ!?仕事に恋に気になる2人のオフィスバトル!!

 歳上の新人×歳下の先輩。平均年齢50歳という、お菓子のパッケージ会社「アマイ企画」の若手社員2人の、なんとも不思議で、なんとも微妙で、なんとも素敵な関係を描き出したオフィス4コマです。主人公は2人。高校を卒業してすぐに入社した、制作室のエース・別所たまき(20)。甘味を糧に仕事をバリバリこなす彼女は、憧れの人などはいるものの、恋愛経験はほぼゼロ。そしてもう1人は、営業部に配属された新人・原田智哉(22)。イマドキの若者という感じの彼は、歳下の先輩にも物怖じせずに接する。最初はいがみ合っていたふたりだったけど、気がつけばなんとも不思議な関係になっていて…という流れ。この関係がなんとも言えない。


ベツバラ
歳下でも、先輩だからため口。でも頼りないところはあって、そういう時に原田くんがフォローする。ああ、なんて素敵な…!


 あるある、こういう絶妙で微妙な関係。たまきには、その都度憧れの存在を用意し、原田くんが気になって…という流れにはなりません。また原田くんにも入社当時彼女がおり、その後すぐに別れるものの、しばらくその子のことを引きずります。やがてくっつく方向に行くのでしょうが、現時点ではそういった気配はなく、あくまで先輩と後輩の関係を保ち続けているという状況。しかも変に気構えせずに、あくまで自然に接するから、その距離感がなんとももどかしく、同時に心地よい。どちらも変に気遣いをするような性格でなく、あくまで先輩後輩というスタンスで接するので、こういう関係が築かれるのでしょう。そしてふとした瞬間に、歳上と歳下という関係が出てくる。このバランス感が本当に絶妙、たまりません。
 
 2人だけの関係にフォーカスした作品ですが、毎回しっかりオチをつけて、4コマとしてしっかり機能。4コマとしての流れを無視した仙石寛子先生の『背伸びして情熱』みたいな作品も素敵ですが、やっぱりこういう4コマのおいしさを味わいながら楽しめる物語ってのは、イイですねぇ。ツボに入っただけかもしれませんが、かなり楽しめたのでオススメで。面白いというか、とにかく好き。


【男性へのガイド】
→このもどかしさは男女共通。ま、芳文社4コマですし。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→雰囲気、設定、がっつりツボに入りました。恋愛未満のムズかゆい関係を、心行くまで楽しみたいと言う方に、心からオススメ。


作品DATA
■著者:曙はる
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムスペシャル「2008年5月号~2009年10月号」
■既刊1巻
■価格:619円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「まんがタイムスペシャル」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。