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Tag [続刊レビュー] 2009.10.13
作品紹介はこちら→かわい有美子/夏乃あゆみ「暁の闇」



07230392.jpgかわい有美子/夏乃あゆみ「暁の闇」(3)


光を見せてくれたのは
そなたであった



■ついに龍の宮が京へ戻った。最延法親王に、出世頭の頭中将、そして最近メキメキと力をつけ、その評判を広げている陰陽師・依亨。聡明な皇子と、周りを固める切れ者の有力者たち。そのことを脅威に感じる左大臣は、依亨にターゲットを絞り懐柔しようとするも失敗。今度は打って変わって、出世したばかりの彼を貶めようと、疫神調伏の儀の大役を任命する。まさかの抜擢にとまどいを隠せない依亨であったが、ここで失敗するようではそれまでの器ということ。なんとか仲間の助けを借りて、儀を行うことを決心する。しかしそれが、後に思わぬ事態を呼び込むことになる…

 続刊が出るペースが比較的スローである上に、かなり濃密で静かな物語を展開するので、新刊が出るたび最初から読み直してます。3巻もまた、雰囲気そのままに、緊張感溢れるストーリーを展開しています。権力争いの一端に巻き込まれる若手陰陽師の姿を描く…という、テーマとしては単純な内容なのですが、陰陽師というファンタジックな要素を絡め、さらにその流れとそこに関わる人々の描写が非常に丁寧に描かれているので、とにかく動かなくとも面白い。3巻は、物語を彩る重要人物たちがスタート位置についたという印象。今までもよどみない流れで展開していましたが、ここからさらに場面が動いてくると思うと、楽しみで仕方ありません。
 
 さて、基本的には厳かでひどくシリアスな雰囲気でおくられるこの物語ですが、3巻の中盤以降から、やや今までとは違う雰囲気を醸し出すシーンがいくつか見られるようになりました。一言で言うならば、「アヴァルスっぽくなった、ブレイドっぽくなった」感じ。まずはこちら…


暁の闇1
あらカワイイ。力の制御が出来ず、暴走する依亨を押さえるシーンにて。


 これは惟喬親王に仕える狐・九条春暁の手下である女狐なのですが、もの凄く萌えキャラっぽい姿をしています。今までも萌えキャラっぽくしようと思えば出来たキャラもいましたが、そうはしませんでした(Ex.依亨の式神)。突如としてこういったキャラが出てきたものだから、個人的にはドびっくり。一気にファンタジックな雰囲気が強まりました。これはどういう狙いをもって描かれたんでしょう…?しかも掛け合いもそういった方向を匂わせてますし。
 
 またこんな描写も…


暁の闇2がーん!


 他にも気絶している無白が起こされるシーンとかも、これ系統。こういったコメディチックなデフォルメは、今までになかったように思います。無白の無表情ツッコミ&ボケはあったりしましたが、リアクション系のネタはこれが初めてじゃないかなぁ。これはアヴァルスにシフトしてきたと言うよりも、キャラが固まってきたという風にも思えます。どちらにせよシリアス一辺倒で独特の物々しい雰囲気を終始纏っていた中で、こういった要素が少しでも入ってきたというのは、注目すべき変化じゃないでしょうか。既存のファンはこれをどう捉えるかはわかりませんが、私はイイと思いました。なんとなくアヴァルスの中でも浮いているイメージのあった同作が、少しだけ溶け込めたんじゃないかな、なんて勝手に思ったりしたのです。このウェイトが増えすぎたら、それはもう暁の闇でなくなってしまうので嫌なのですが、適度に混ぜ込まれている分には心地よいではないですか。果たして4巻以降、どのようなバランス感で作品が描かれるのか、楽しみです。
 
 物語も人間関係だけに終始せず、陰陽師同士の戦いみたいな方向に行きそうで、また一味違う側面を見られそう。4巻はこの作品のハイライトになるんじゃないかと勝手に予想してます。


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