作品紹介はこちら→*新作レビュー* 南波あつこ「隣のあたし」
南波あつこ「隣のあたし」(2)
もう 隣は
あたしじゃない
■2巻発売。
京介にキスをした結衣子の存在が気になる仁菜。いてもたってもいられずに、京介に自分の想いを伝えるも、「お前のこと、そういうふうにみれない」と告げられてしまう。そしてさらに京介に頼る結衣子の姿を見て、仁菜の苛立ちと絶望は募る。「結衣子さんには、彼氏がいるはずなのにどうして…」。いつも隣にあった京介の存在が、いつしか遠くに離れていってしまったような。そしてさらに…!?
「ああ、またこのパターンか…」どうしても、そういった感想を持たざるを得ない展開。南波あつこ先生は、「先輩と彼女」と続く「スプラウト」で、状況は違えど構造としては似たような作品を送り込んできており、今度の「隣のあたし」は違うテイストで来るのかと期待していたのですが、期待通りにはならなそうですね。「先輩と彼女」は、同じ部活の先輩に恋する後輩ヒロインで、けれどその先輩には好きな人がいて、相手にしてもらえないという展開。「スプラウト」は、ひょんなことから同居することになった、同じ学校の下宿生に恋するヒロインで、けれどその彼にはみんなが羨むようなかわいい彼女がいて…という展開。どちらも彼氏彼女の有無や年齢の差異みたいな差異はあるものの、相手に想い人がおり最初は相手にされないけれど、不意にその思いを伝えてしまい、それがしこりとして残り続け、最終的に想いが成就しておしまいという。今回は多少なりともそういう展開にはならんだろうと想っていたら、やっちまいやがったよ、京介のやつ…

弱さを見せた結衣子を抱きしめ、そのまま付き合うことに。これを流されたといわずして、何と表現すればよいと言うのか。
とにかく南波作品の相手役は流されやすく、へたれが多い。基本的には真面目で一本気な性格なのですが、肝心なところで弱い。そんなイメージがあります。だからこそ、ヒロインはただただ一途に想い続けるだけで、想いが成就してしまうわけですが、それが魅力でもあり、弱点でもあるように思うんですよ。基本的に、人ってのは流されやすいです。もう京介や草平のように(変なところで律儀だったりするへんも)。で、それが恋愛の分かれ目ともいえるわけで、当然そこで良い思いをした人もいれば、嫌な思いをした人もいるはず。そんな中、勝率のそうそう高くないであろうその分かれ目を、必ずものにしてるってのは、なんか腹立つんですよね(笑)それぞれ独立した作品として考えれば良いのですが、こうも似た展開であると、リンクして考えざるを得ない。果たして古参の南波あつこファンで、この作品を手放しで「傑作だ!」と礼賛している人がどれだけいるのだろうか…。
なんだか前の巻のレビュー同様、クレーマーのように愚痴をつづるだけのレビューになってしまいましたが、私は南波先生のこの作品や、こういう展開自体は嫌いじゃない…というか、好きです。あくまでそのとき近くにいる者が勝つ(「先輩と彼女」は同じ部活ですし、「スプラウト」は同居してますし、「隣のあたし」もお隣さん)という、ちょっと古風ともいえるルールは、最近のケータイ小説なんかじゃ見られなくなりつつありますし、過程はどうであれ気持ちいいいです。ただそういった展開しか描かないってのが、残念というだけで。なんだかもう仁菜の想いが成就するみたいな書き方をしてますが、2巻では状況は最悪です。とはいえ少女漫画ですからね、はい。これから再評価の余地があるとすれば、ヒロインを一途じゃなくするか、嫉妬といった内面的な汚さではなく、いやがらせ的な外面的な汚さを出したりとか…ねーな(笑)
さて、2巻ではなつかしのキャラが登場します。スプラウトでも人気だった(?)……

タッキーこと滝川直治と、そのオタク友達。迷子になってしまった子を助けるという、一見すると犯罪とも取られかねないような、アブナイ形での登場となりました。他にも出てくれないかなぁ…。清佳さんと、当て馬の星・片岡先輩とか。
■購入する→Amazon
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bk1

もう 隣は
あたしじゃない
■2巻発売。
京介にキスをした結衣子の存在が気になる仁菜。いてもたってもいられずに、京介に自分の想いを伝えるも、「お前のこと、そういうふうにみれない」と告げられてしまう。そしてさらに京介に頼る結衣子の姿を見て、仁菜の苛立ちと絶望は募る。「結衣子さんには、彼氏がいるはずなのにどうして…」。いつも隣にあった京介の存在が、いつしか遠くに離れていってしまったような。そしてさらに…!?
「ああ、またこのパターンか…」どうしても、そういった感想を持たざるを得ない展開。南波あつこ先生は、「先輩と彼女」と続く「スプラウト」で、状況は違えど構造としては似たような作品を送り込んできており、今度の「隣のあたし」は違うテイストで来るのかと期待していたのですが、期待通りにはならなそうですね。「先輩と彼女」は、同じ部活の先輩に恋する後輩ヒロインで、けれどその先輩には好きな人がいて、相手にしてもらえないという展開。「スプラウト」は、ひょんなことから同居することになった、同じ学校の下宿生に恋するヒロインで、けれどその彼にはみんなが羨むようなかわいい彼女がいて…という展開。どちらも彼氏彼女の有無や年齢の差異みたいな差異はあるものの、相手に想い人がおり最初は相手にされないけれど、不意にその思いを伝えてしまい、それがしこりとして残り続け、最終的に想いが成就しておしまいという。今回は多少なりともそういう展開にはならんだろうと想っていたら、やっちまいやがったよ、京介のやつ…

弱さを見せた結衣子を抱きしめ、そのまま付き合うことに。これを流されたといわずして、何と表現すればよいと言うのか。
とにかく南波作品の相手役は流されやすく、へたれが多い。基本的には真面目で一本気な性格なのですが、肝心なところで弱い。そんなイメージがあります。だからこそ、ヒロインはただただ一途に想い続けるだけで、想いが成就してしまうわけですが、それが魅力でもあり、弱点でもあるように思うんですよ。基本的に、人ってのは流されやすいです。もう京介や草平のように(変なところで律儀だったりするへんも)。で、それが恋愛の分かれ目ともいえるわけで、当然そこで良い思いをした人もいれば、嫌な思いをした人もいるはず。そんな中、勝率のそうそう高くないであろうその分かれ目を、必ずものにしてるってのは、なんか腹立つんですよね(笑)それぞれ独立した作品として考えれば良いのですが、こうも似た展開であると、リンクして考えざるを得ない。果たして古参の南波あつこファンで、この作品を手放しで「傑作だ!」と礼賛している人がどれだけいるのだろうか…。
なんだか前の巻のレビュー同様、クレーマーのように愚痴をつづるだけのレビューになってしまいましたが、私は南波先生のこの作品や、こういう展開自体は嫌いじゃない…というか、好きです。あくまでそのとき近くにいる者が勝つ(「先輩と彼女」は同じ部活ですし、「スプラウト」は同居してますし、「隣のあたし」もお隣さん)という、ちょっと古風ともいえるルールは、最近のケータイ小説なんかじゃ見られなくなりつつありますし、過程はどうであれ気持ちいいいです。ただそういった展開しか描かないってのが、残念というだけで。なんだかもう仁菜の想いが成就するみたいな書き方をしてますが、2巻では状況は最悪です。とはいえ少女漫画ですからね、はい。これから再評価の余地があるとすれば、ヒロインを一途じゃなくするか、嫉妬といった内面的な汚さではなく、いやがらせ的な外面的な汚さを出したりとか…ねーな(笑)
さて、2巻ではなつかしのキャラが登場します。スプラウトでも人気だった(?)……

タッキーこと滝川直治と、そのオタク友達。迷子になってしまった子を助けるという、一見すると犯罪とも取られかねないような、アブナイ形での登場となりました。他にも出てくれないかなぁ…。清佳さんと、当て馬の星・片岡先輩とか。
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