このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [続刊レビュー] 2009.10.20
作品紹介はこちら→*新作レビュー* 西形まい「サイボーイ-改造少年」



07228742.jpg西形まい「サイボーイ-改造少年」(2)


オレを
支えてくれる人がいる
オレを認めてくれる人がいる



■2巻発売。完結しました。
 1巻発売の時点で連載は終了していたので、2巻完結はすでに織り込み済み。果たしてどんなかけ足で終了するのかと思いきや、「やるべきことは全部やった!」という感じの、実に爽やかで清々しい終わり方でした。窮屈さは一切なし。いやあ、面白かったです。
 
 2巻での1番の見所は、主人公・九条の初恋の相手である、戸田さんの登場でしょうか。小3のとき、まだメガネで根暗だった清澄少年は、自分に優しく話しかけてくれた戸田さんに恋をします。そしてクラスメイトにそそのかされ、クラスメイトたちの前で告白するも「ハァ?キモイんだよ。あんたと話してやったのなんて、ボランティアだっつーの」とこっぴどくフラレてしまいます。このことがきっかけとなり、清澄はイイ男になることを決意するのですが、そのトラウマを植え付けた張本人が、とびきりの美人になって彼の前に再び登場。なぜか男に関してブランド志向になっている戸田さんは、人気ナンバーワンの清澄に目をつけ、つき合うように要求します(過去の写真をネタに)。戸田さんがこうなってしまったのには、ちゃんとした理由がアリ、それもまた好印象。まさかこんな形で新キャラが登場するとは思っていなかったので、この展開には驚かされました。話運びというか、話の作り方が上手いな、という。まぁイケメン会をはじめ、相変わらず小悪党が多いですけど(笑)とはいえコメディなので、こういった小悪党を用意して成敗するってのも、ひとつ水戸黄門的なパターンとして楽しめるので、ありっちゃありな気もします。


サイボーイ2
1話目の回想シーンに登場した戸田さんが、まさかの再登場。


 2巻完結ですから、深くまで物語を描くことはせず、ほどほどのラインでやるべきことをしっかりとやりつくしたという印象。それ故に、アランさんとの恋路は思った程進展しませんでしたが、それはそれでウブな二人らしくて良かったですね。妹のアレンちゃんも可愛かった。どのキャラも、愛すべき魅力をもっていました。もう少し続けば、鷺野の過去なんかも明らかになって、面白かった気もしますけど、まぁそうなるとまた面倒なのか。やっぱり最後まで「オトメン」(→レビュー)の面影を感じる内容でしたが、いやこちらも遜色なく面白いですよ。あちらはキャラ数の増加による、物語の肥大化に苦しんでいるようにも思えるのですが、もし短期間で決着が付けられたなら、こういう終わり方になったのかな、と。西形まい先生の次回作にも注目。面白かったです!
 

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「花とゆめ」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。