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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2009.10.20
07228743.jpg中村世子「ニブンノワン!王子」(1)


あぁ どうしましょう
今頃お姫様の気持ちが分かりました
大好きです 王子様



■王子様が選ぶのは、キレイでカワイイお姫様。キレイでもカワイクもない私は、もし仮に王子様がいたとしても、選ばれることはないのだろうな…そう思っていた平凡な女子高生・月子の目の前に現れたのは、ビジュアル系バンドのメンバーのような風貌の青年。花嫁を探しに、異世界からやって来たのだと言う彼は、半人半犬というフシギ体質の王子様。彼のブレスレットを拾い、あげく紛失させてしまったばっかりに、月子はその王子様・ジンの婚約者になってしまう!あまりに現実離れした出来事に戸惑い、頑にジンを拒む月子だったが、やがて彼の誠実さに、彼女の心は溶かされて…!?

 異世界からやってきた王子様の婚約者に選ばれてしまうヒロイン。しかし彼女は、王子様なんか信じない頑な心の持ち主で、さらに王子は半人半犬という特異体質の持ち主だった…という内容のラブファンタジーです。序盤の展開の早さ(出会い→婚約者探ししてるけど、探すのに必要なブレスレットが見つからない→なくしたのは月子だから、見つかるまでウチで暮らしてくださいな)は、花ゆめというよりも、むしろなかよしっぽさを感じます。
 
 満天国の王子・ジンは、「異世界にてブレスレットを最初に拾い、腕にはめた者と結婚する」という習わしによって、地球は日本へやってきます。そんな中、最初にブレスレットを拾うのが月子なのですが、あろうことか彼女はブレスレットをはめる事無くどこかへ紛失してしまいます。その責任を取るために月子は一緒にブレスレットを探すのですが、その過程でお互い信頼しあうようになり、やがて婚約者にされてしまいます。結局ブレスレットは出てくるのですが、月子の姉の不注意で、そのブレスレットを飼い犬の首にはめてしまいます。そのため、「人間以外にブレスレットをつけてしまった場合は、しばらく国に帰ってはならない」という満天国の習わしによって、ジンは帰国不可能に。そのためジンは、月子の姉の計らいによって、彼女たちの家でしばしの間一緒に暮らすようになります。


ニブンノワン!王子
自己評価が低いヒロイン・月子。コンプレックスごと、ジンは彼女を受け止め、また月子も、彼との触れ合いを通して、お互いの持つコンプレックスを融解していく。この関係がなんとも言えない。


 ファンタジックな要素をふんだんに盛り込んだ、現代版シンデレラストーリーです。単に王子様に選ばれて嬉しいというお話ではなく、王子・ジンとヒロイン・月子双方にコンプレックスを用意し、その克服の過程を同時に描いていきます。ヒロイン・月子は、優しくて可愛くてモテモテの姉に対し、地味で意固地な自分にコンプレックスを抱いています。また王子・ジンも、半人半犬(満天国の国民は犬型だが、王族は人型)であるということにコンプレックスに苦しめられています。花ゆめレーベルは前向きな性格のヒロインが多いのですが、ここまでネガ…というかクヨクヨするヒロインは、少し珍しい気がします。それが高屋奈月レベルまで行くと、重すぎてどうにもならないのですが、こちらはテンポの良いコメディが基礎となっているので、いい塩梅に楽しむことができます。またジンが常にイケメン青年の姿をしているのではなく、ややブサのワンコになるあたりも、耽美な方向に流れて行きそうな雰囲気を、上手い具合に緩和しているのかも。
 
 コンプレックスのせいで、王子になりきれない王子と、姫になりきれないヒロイン。そんな不器用な二人が、どこまでも愛くるしい。恐らく読切りスタートの作品。1話目にしてカップル成立、紛失したブレスレットも近くにあるなど、よほど人気が出ない限りあと1~2巻で完結という感じでしょうか。その辺も考慮して、オススメでいこうかな。こういうヒロインは、個人的に大好き。なんとも微笑ましいラブロマンスです。


【男性へのガイド】
→シンデレラストーリーですが、上手い具合にくだけているので、男性にもそれなりに読めるつくりになっていると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→ストーリー自体は凡庸も、キャラ設定を上手に使い、しっかりと読める作品に仕上げている。こういうヒロインは個人的に大好き。不器用な二人の行く末を、最後まで見届けてあげたいと思いました。


作品DATA
■著者:中村世子
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:ザ花とゆめ(4月1日号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
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売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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