
何故謝る?
…君はぼくの眼を見ても逃げなかった
それだけでいい
■幽霊が出ると噂される廃屋に忍び込み、そこで突然意識を失い、以来高熱を出して眠り続けるようになってしまった友人を助けるため、大学生・小沢晴香は、同じ大学でそっち方面に強いと噂される男のもとに向かう。彼の名前は斉藤八雲。とにかくマイペースで飄々とした態度をとる八雲のことを信用しきれない晴香だったが、彼女の過去をズバリ言い当てられ、信用することに。赤い瞳を持ちその眼で幽霊を見通すという彼と、早速問題解決に向かうが…!?
人気小説シリーズのコミカライズ作品です。なんて言って、コミカライズは2回目。数年前に白泉社にてコミカライズされており、2巻まで刊行されています。正直全然知りませんでした。むしろ知っていたのはドラマのほうで、こちらはテレビ東京にてドラマ化されています。どちらも原作に概ね倣った物語展開だそうで、このAsuka版も基本的な部分は原作に忠実。何かにつけて頼られがちなヒロイン・晴香が、赤い眼を持つ霊能力者・八雲と共に心霊がらみの難事件を解決に導くという、スピリチュアルミステリーシリーズです。

マイペースというか、あくまで自分のルールで動いている感じ。ホームズとかもこんな感じだよね。
心霊がらみの事件ということで、幽霊サイドだけで完結するような事件は扱わず、幽霊が絡んだ刑事事件の解決がメインという感じ。まぁ大抵の鍵は幽霊が握っていて、それを八雲くんが簡単に聞き出しちゃうもんだから、ある意味では無敵で、ヒントから解決に導くという探偵もの本来が持つような魅力にはやや欠けるかも。とはいえヒロイン晴香がなかなかのトラブルメーカーなので、そうそう簡単に事は運ばないぞ、という感じで、決して飽きさせることはありません。また事件を解決するだけでなく、パートナーとして徐々に心を通わせていく部分も見所。お互いに心に傷を持っており、それを2人で埋めあっていくような関係性を見ることが出来ます。ただ緊迫していないときは、どちらかというと漫才風味。かみ合っていないようでかみ合っている二人は、実にいいパートナーだなぁ、と。
スタイリッシュなヒーローに、テンポの良い物語展開、そんでもって話も分かりやすいと、ウケる要素は盛りだくさん。マンガだから当たり前のように描かれていますが、これが小説ともなると、結構スゴいのではなかろうか。まぁ読んだ事ないのでわからないんですが。
【男性へのガイド】
→これは読みやすいと思いますよ。面白いかは知らんけど、好きな人は好きだと思う。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→いい意味でライトで、もの凄く取っつきやすいです。ただそれが薄味感を助長してしまっているような気も。
作品DATA
■著者:神永学/小田すずか
■出版社:角川書店
■レーベル:Asuka DX コミックス
■掲載誌:Asuka(2009年8月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:560円+税
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