
描いてた未来とはちがうけど
もうちょっとがんばってみようかな
■天音麻衣・15歳。ロックスターを目指し上京し、オーディションで合格したはいいけれど、なぜかマイペースな天然少女・くるみと、アイドルユニットを組まされるハメに。いちごの国からやってきた、いちごの国のプリンセスユニット、その名も“STAR BERRY”!!ブリブリの衣装に、不思議ちゃんの相方、そしてきもいファン…理想とはかけ離れた現実に、すべてを投げ出したくなる麻衣だったが…!?
「ラブ★コン」、「ナナコロビン」(→レビュー)でおなじみの中原アヤ先生の新連載です。今度はアイドルコメディーですか。ヒロインは、ロックスターを目指し上京したものの、なぜか天然少女とアイドルユニット“STAR BERRY”を組まされ活動している天音麻衣・15歳。理想とはかけ離れた現実…立て続けに起こる苦難…その度に何度も挫けそうになるも、その度奮起してアイドルとして成長していく様子を、相変わらずのテンポの良さとテンションの高さで描いていきます。一番の壁として立ちはだかるのが、麻衣に入れ込むライバルプロダクションの社長。麻衣を引き抜きソロデビューさせるため、あの手この手でスターベリーの邪魔を仕掛けてきます。その足がかりとなるのが、メンバー数100人というアイドルユニット。正統派美少女にドM、幼女に人妻、果ては犬までいるというトンでも集団と、STAR BERRYの2人とのやり合いは、爆笑必至。先生も巻末で書いておられるのですが、芸能界コメディーというよりは、芸能界コントという感じ。

天然少女・くるみ。このアホはいいアホ。実際に相手にしてたらストレス溜まりまくりでしょうが。
代表作である「ラブ★コン」は、関西という舞台に、ハイテンションと色ものキャラを上手く溶け込ませたラブコメディでした。そして前作「ナナコロビン」は、ハイテンションはそのままに、さらにキャラクターを色モノ化させた、オフビート感の色濃く出たラブコメとなっていました。で、「ナナコロビン」に関して言えば、そのオフビート感がラブコメという“枠”と喧嘩して、中途半端になってしまったかな、という印象があったのですが、今回はそれを逆手に取ってか、完全なオフビートものとして勝負してきました。
1巻時点で恋愛要素は全くナシ。恐らくここから恋愛展開するのだろうな…という“種”は見られますが、まだ芽吹く気配はなく、今のところ完全な芸能コント一本。キャラ設定や物語展開も型破りなものが多く、ホントに好き放題やっているな、という印象。ドッグフード食べたりしますし。この開き直りが、実に清々しく、面白い。多少なりともラブコメ的なものを期待して読みはじめた人は、若干面食らうかもしれませんが、最初から完全なオフビートものだと構えてから読めば、存分に楽しむことができるはず。「ナナコロビン」が3巻で終了し、「ラブ★コン」のようなラインに戻っていくのかと思いきや、完全に逆走するという攻めの姿勢を見せた中原先生を、素直に賞賛したいです。
全体で見るとコントですが、STAR BERRYの2人で見ると今度は漫才になります。まったく違う性格の持ち主ですが、どちらもカワイイ。一見麻衣の方がしっかりしているように見えますが、大事なところで頼りになっているのは、むしろくるみという気もしなくもありません。色モノの脇役たちで固めても笑いが分散しないのは、軸となるこの2人がしっかりと存在を主張しているからだと勝手に思ってます。とりあえずくるみがお気に入りです、はい。
【男性へのガイド】
→恋愛要素薄めで、ぶっ飛んだストーリーと、結構読める下地はありそう。実績のある作家さんですし、物語もこんなんでありながら破綻していないですし。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→攻めの姿勢を評価したい。実際面白いし。でも長く続くとは思えない…果たしてどうなるのか。
作品DATA
■著者:中原アヤ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット(平成21年4月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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