
友達いっぱいできたらうれしいけど
でも
あたしのままじゃなきゃイミないじゃん?
■10年来の幼なじみである、ハルと遼太郎。性格も女の子の好みもまるでバラバラだけど、何故かいつも一緒につるんでいる腐れ縁の仲。同じ高校に進学することになった2人は、そこで美少女・中川美礼と出会う。その容姿におもわずハルは釘付けになるが、その外見とは裏腹に、彼女の性格は超がつくほどの天然…「処女じゃありませんけど、よろしくおねがいします」「人類の歴史はね、セックスの歴史なんだよ」そんな言葉を、微塵も恥ずかしがる事無く言い放つ彼女に、2人はなぜか好かれてしまい、気がつけば振り回されっぱなし!?
「B.O.D.Y.」(→レビュー)の連載を終了後、新たに始まったのがこちらの作品。今度のヒロインは、何を考えているのか全く分からない、不思議系ド天然娘です。お話の主人公になるのが、幼なじみの男の子2人組、ハルと遼太郎。至って真面目で押しに弱い遼太郎に対して、ハルは明るく活発で要領のいいちゃっかり者という、正反対の性格の持ち主。女の子の好みもまるでバラバラで、遼太郎は真面目な雰囲気の子を好むのに対し、ハルは見ため重視で惚れっぽい気質。そんな2人が高校で出会ったのが、ハルの好みど真ん中の美少女・中川美礼。早速興味を示すハルでしたが、その見ためとは裏腹に、一挙手一投足ごとに周囲を困惑させるド天然娘だということが判明。さらにあろうことか美礼が2人に興味を持ってしまい、美礼の言動に散々振りまわされることになります。

天然というか、見たこと聞いたことを素直に受け取ってしまい、そのまま外に出すみたいな、極端なイノセンスさを持っている。そのためか、恥とか外聞を気にするとか、そういう方向には全く注意が働かない。
これはどういった需要を予測してのことなのでしょうか。いや、個人的にはもの凄く興味がひかれたのですが…。まずヒロインである美礼が、対人スキルに難アリの天然少女で、感情移入を許しません。一応やや暗そうな背景を用意して、今後感情移入の余地を作っていくであろうことは予測されるのですが、現時点では「なんなんだ…この人…」の域を出ず、感情移入の受け皿としての役目は男キャラ2人に託されることになります。少女漫画で男キャラを主人公に据えるというのは、かなり勇気が要ると聞いたことがあるのですが、さらに女キャラに感情移入の余地を用意しないという、思い切った設定。男の子2人組も、どちらかというとハルは少女漫画の相手役的なキャラを地でいっており、感情移入するならば遼太郎一択になるのかなぁ、という印象。果たしてここからどう各キャラを描いていくのか、非常に楽しみです。とりあえずは、美礼の人格をもっと紐解いていって…というキャラ形成的な流れと、ハルが美礼に惚れてしまい、その気持ちを美礼と遼太郎はどう受けとめるかという恋愛方面での流れがあり、どちらも2巻以降でギアが上がってきそうな気配。ここで「何これ…」と見きっちゃダメ、答えを出すのはまだ先でも遅くないです。というか1巻時点でも十分気を惹く作りにはなっていますけどね。
この雰囲気、なんとなく真崎総子先生の作品っぽいイメージ。あちらはデザートということでかなり下世話な雰囲気が強いのですが、こちらはそれを別マにフィットするようにややお上品にした印象。まぁ、何を言いたいかというと、不思議な面白さがあるということです。どう着地するかはわからないですけど。案外三角関係でぎゃーぎゃーみたいなところに落ち着いてしまうかもしれないですし。とりあえずは追いかけてみようと思います。
【男性へのガイド】
→男の子視点はプラスか。ただこのヒロインをどれだけ受け入れられるかで、この作品の評価はかなり変わってきそう。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→1巻は様子見という感じ?なんてことない所に着地しそうな気もするものの、特異なキャラ設定で展開させる物語に、強く興味を惹かれたことも事実。追いかけます、はい。てかなんだかんだで美森先生好きなんだろうな、私。
作品DATA
■著者:美森青
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット(平成21年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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