このエントリーをはてなブックマークに追加
Tag [新作レビュー] 2009.10.25
07228877.jpgひぐちにちほ「小春びよりnew」(1)


くそ~っ
ダメだっ
超カワイくて怒れねェっ!!



■シワだらけの顔に、クリクリでうるゅうるゅのおめめ。正直言ってブサイク…けどかわいい!ぶちゃカワ黒パグの小春と、小春にメロメロな飼い主・耕之助が帰ってきた!ぱっと見コワいみんなだけど、じっくり覗けばあらかわいい。ほっこりでうるキュンなパグライフを、あなたもお楽しみあれ!

 犬をフューチャーした作品というのはたくさんありますが、こちらもシリーズ累計7巻を誇る人気シリーズとなっています。お話の主人公は、ブサカワ犬として有名なパグの小春ちゃん。この小春、パグのブサカワという面をこれでもかと肥大させたようなワンちゃんで、食い意地ははってるわ、リアクションが大きいわ、自分勝手だわ…とにかく欲のかたまりのようなキャラクターになっています。パグってホントにこんな身勝手なんですか?そしてそんな小春ちゃんにメロメロな飼い主が、高校生の耕之助くん。無口で強面な彼は、その見ためから若干怖がられやすく、つるむ友達も見ための怖い人たちが多いのですが、内面は至って普通の心優しい青年。その彼が、小春ちゃんの暴走に慌てふためきつつも、最後は「カワイイ~」で片付けてしまう、その様子を楽しむようなお話しになってします。


小春日和
可愛くないところがカワイイ。そんなパグの魅力を、存分に描き出す。


 無口な耕之助くんですが、無口という説明が示す通り、まったく言葉を発しません。言葉を発さない者同士の、表情と行動だけのコミュニケーションが、面白さを増長。無声映画とは違うんだけど、それに通じるものはあるように思います。そんな2人、ないし耕之助くんの言葉を代弁するのが、仲の良い友人連中。彼らもまたコワモテなのですが、小春には弱いという。
 
 わんぱくさや幼さなど、子犬の魅力を真っ正面から描いたのが「モモ缶」(→レビュー)だとしたら、こちらは意地汚さや不細工さをあえてカワイイと思わせる方式。いや、パグの魅力が本来そういうものである以上、内容もそうなってしまうわけですが。この魅力は犬好きというよりは、パグ好きにこそ通用するものであると思うので、その門戸は若干狭めなのかな、と。ただそこに個性的なキャラ達を配置し、てんやわんやさせることでパグだけで完結しない面白さを演出しています。この辺はしっかり工夫しているな、と感心。ただパグ飼おうとはまだ思えない、そんな中途半端な犬好きの私でした…。


【男性へのガイド】
→だから犬というか、パグが好きなら。女性向けとかそういうのはあまり関係ない気がします。
【私的お薦め度:☆☆   】
→☆の数=パグへの理解度。私はパグがどうも苦手で…。ごめんなさい。


作品DATA
■著者:ひぐちにちほ
■出版社:講談社
■レーベル:KC別フレ
■掲載誌:別冊フレンド(2008年2月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:495円+税

■購入する→Amazonbk1

カテゴリ「別冊フレンド」コメント (0)トラックバック(0)TOP▲
コメント


管理者にだけ表示を許可する

この記事にトラックバック
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
タグカテゴリ
月別アーカイブ
リンク
プロフィール

Author:いづき
20代男、Macユーザー。野球はヤクルト、NBAはマジックが好きです。

文章のご依頼など、大事なお話は下記メールアドレスへお願い致します。


■Twitter
@k_iduki

■Mail
k.iduki1791@gmail.com
※クリックでメール作成
RSSフィード
▽最新記事のRSSを購読

a_m.jpg
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Power Push
2012年オススメはコチラ→2012年オススメ作品集


かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。