
今日から君には“兎飼館”で
寮母をやってもらう
■憧れの高校生活を夢見て、田舎から親元を離れ上京してきたいろは。しかし早々にトラブルが発生する。なんと入居予定だったアパートが、火事で全焼してしまったのだ。さらに火事のゴタゴタで、財布までスられて無一文に。入学を前にして行き場をなくし、公園でひとり呆然と佇むいろはだったが、そんな彼女に一人の男が声をかけてくる。「高校のパンフに載ってた人だ!」。男は声をかけただけで、すぐに立ち去ろうとするが、いろははもう彼にすがるしかない。全力で追いかけ、脅迫気味に居場所を作ってもらうことを約束させるが、辿り着いた先はなぜか男子寮で…!?
行き場をなくした女子高生が、同じ高校の初対面の男子にすがった末に辿り着いたのは、なんと男子寮で、しかも寮母に指名されて…!?という展開の、男子寮逆ハーレム型学園コメディです。すがりついたパンフレットの男子・三崎真悟は、入学予定の高校の理事長の息子で、同い年にも関わらず、男子寮の寮長を務めています。その彼に「寮母として雇ってやる」と提案されるのですが、まさか寮母をやらされるとは思っていなかったヒロインは、早々に辞退を申し出ます。しかしそうは問屋が卸さない。前日すがりつく際に三崎家のベンツを大破させてしまったため、お金を払う余裕のないヒロインは、労働で返すことに。斯くして男子寮にて寮母として働くことになったヒロインは、なんだかんだで面倒見のよい寮生たちと共に、賑やかな学園生活を送っていくことになります。

のっけからこのテンションで、一気に読者を引き込む。ヒロインの必死さに思わず笑ってしまいました。
学園コメディというのは基本的に賑やかですが、この作品もまたハイテンションな物語展になっています。いや、リアクションが大きいと言った方が正しいのか。キャプ画像にもあるように、のっけからこの必死さ。やや暴走しがちなヒロインと、鬼のような寮長・三崎。これだけでそれなりに漫才になるのですが、さらに女の子っぽい寮生・華柳優太と心優しい不思議系・角光平良が加わり、物語に華と展開のバリエーションを与えます。
男子寮で働いていることは、口外厳禁。また、息子・真悟を溺愛する理事長の存在など、ネタはつきません。いい具合にズレていて、かといって外しすぎることもない。上手いこと連載誌であるマーガレットにフィットした作品になっていると思います。同居ものないし学園コメディという枠で見ると、他作品と比べて目立つところはないものの、作品単体で見れば十分楽しめる水準で、人気作品の仲間入りをしてもおかしくないな、と思いました。これが大谷先生のレギュラー定着のきっかけになってくれると嬉しいですね。
【男性へのガイド】
→恋愛要素の強くない1巻は、コメディ色の強さも手伝って、比較的読みやすいラインになっていると思います。2巻以降恋愛要素が強くなってくると思われるので、そうなったらわからないですけど。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→マーガレットにフィットした、ややハイテンションな学園コメディ。キャラが生き生きしているのは好印象。これといった目新しさはないですが、楽しんで読めました。
作品DATA
■著者:大谷紀子
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成21年No.7~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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