
同族の私が言うのもなんだが…
ヤバイ!!!そして痛い!!!何をするかわからない!!!
■幼なじみに結婚を迫る女子高生・麻丘倫子。しかしそれには理由があった。彼女は魔法界屈指の名門家・レイヴンズクロフトの血を引く、魔女なのだ。人間との混血・少子化に苦しむ魔法界は、純血の倫子に魔法界の将来を担ってもらうため、由緒正しき魔法使いを婚約者として紹介する。しかしそれに反発するように、倫子は普通の人間の幼なじみである晃一を婚約者に指名。その事に協会の人間は激怒。以来月一でお見合い相手の魔法使いを送り込んでくるようになってしまったのだ。倫子の運命やいかに!?
よねやませつこ先生と言えば「収拾体質」(→レビュー)という、とにかく好き放題詰め込んで好き放題展開させる、霊感ドタバタコメディを連載していますが、今回もまた好き放題やってます。今度の主人公は、魔法使い。それも由緒正しい名門の血を引く、とびきりボーイッシュで魔法界嫌いの。とにかく少子化・混血化にあえぐ魔法界は、ヒロインである倫子に、純血の血を継いでもらいたいと考えます。しかし家族含めて変わり者揃いの魔法界に、どことなく胡散臭さを感じた倫子は、魔法使いとの結婚を断固拒否。人間の幼なじみを結婚相手に選ぶのですが、そう簡単に許すはずはありません。「負けたら幼なじみがどうなるかわからない」「全員倒したら諦める」などと言いくるめ、見合い相手として魔法使いを月一で送り込んでくるようになります。

ありがちな魔法界とは違う。あくまで現代魔法界。人間世界に特化しすぎたため、魔女は魔女っこかセクシー路線を貫かなければならない。高校生の倫子はボーイッシュなのに魔女っこ。魔法を使うときはラブリーステッキを使うし、詠唱時は可愛らしいフレーズを言わなければならない。
毎回個性的すぎる見合い相手が送り込まれ、勝負をしていくという展開。しかし名門の血を引く彼女は、そう簡単に負けることはありません。バトルはいわば茶番で、見所は他の部分。各人の個性を前面に押し出し、勢いの良い掛け合いを見せていきます。大抵話を引っぱるのは見合い相手。それを連れてくるのが爽やかだけどどこか胡散臭い、結婚コーディネーター。そしてそれらを相手にヒロインが暴走気味にハッスルし、幼なじみが笑顔で見守るという構図。そういう意味では、晃一君が唯一の安息の場所とも言えるかもしれません。
とにかくネタがあちこちに仕掛けられています。まぁそれがハマるかハマらないかはその人次第だと思いますが、ハマるのであればこれは大満足の作りでしょう。またそれだけに終始せず、しっかりとストーリー展開できる要素も用意。それがヒロイン・倫子と幼なじみ・晃一の関係について。倫子は晃一を婚約者として指名するわけですが、完全に恋心からきているというわけではなく、逃げ道としての存在という部分が少なからずあります。一方の晃一も、そのことをしっかり理解しており、お互いに恋の芽が芽生えるか芽生えないかというライン。見合い相手との戦いを重ねる毎に、逃げ道・良き理解者といった関係性を越え、真に愛し合えるようになるかという部分が描かれます。はちゃめちゃなコメディ部分に対して、やけにおとなしいというか素朴なテーマを重ねて来るなぁと思うものの、大仰なネタ同士だと逆に喧嘩してしまうのかも。このぐらいが丁度良いのかもしれませんね。
【男性へのガイド】
→かなりごちゃごちゃしている(ネタ的に)ので、そういうのが大丈夫な方は。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→好き嫌いが分かれそうなので、オススメはしづらいです。自重せず好き放題やっているところを、面白いと見るか、うるさいとみるか。
作品DATA
■著者:よねやませつこ
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(平成21年5月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税
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