作品紹介はこちら→桃森ミヨシ「悪魔とラブソング」
桃森ミヨシ「悪魔とラブソング」(8)
僕もね 無神経っていうか
人とのキョリ感がとれてないってよく言われます
だけどそれを
恥じたことも悪いと思ったことも一度もなかったなぁ
■8巻発売です。
突然姿を消したあんなから、マリアに届いた一通の手紙。そこに描かれていたものとは…!?あんな編、ついに完結!そして、2年に進級したマリアたちの前に現れた、黒須という1年生。TV番組の影響で好奇の目にさらされるマリアに、誰もが近付けないなか、彼だけは軽く壁を飛び越え、マリアの元に近づく。その掴みきれない距離感に、マリアは戸惑いつつも、彼の中に自分と同じものを見出すように。そしてそんな2人を横目に、目黒は苛立ちを募らせていくのだった…
あんな編完結しました~。最後は手紙で締めますか。実質的な最終回はやはり7巻。8巻では1話のみを使い、物語の整理に入りました。そして新章スタート。黒須編とでも言いましょうか。今度マリアの前に立ちはだかる(というとちょっと違うけど…)のが、新1年生の男の子でした。
正直というか、人と人との距離感が異様に近いというか、とにかく掴みきれない性格の持ち主である黒須くんは、TV番組ですっかり有名になっていたマリアに、真っ正面から近づいていきます。レベルとしては、もはやつきまとい。しかし笑顔で本音を語る彼を前に、異論は唱えることはできても、誰も彼を静止できる者はいません。気がつけばマリアと急接近。マリア自身にはその気はないものの、離れた位置からマリアを守ろうと決めた目黒は、気が気ではありません。今回はそんな黒須くんと、目黒のとあるやりとりから、目黒について少し書いてみたいと思います。
~黒須の登場で、目黒の弱さが浮き彫りになる~
感覚でマリアに近づく黒須に対し、目黒は「中途半端な興味だけであいつに手を出すな」と牽制します。しかしそんな目黒に対し黒須は…

一刀両断。結局それは、マリアを誰のものにもせずに、ずっとひとりぼっちでいさせるだけじゃないか。そう強く言い放ち、目黒を突き放します。
そして目黒のとった行動は、マリアの過去を黒須に話すこと。その理由は、彼が隠し通すことでマリアを守ろうと決めたからだと。うーん、なんだか違和感を感じるというか、納得できないというか。他人のデリケートな問題を、そうやすやすと無関係の人間に伝えていいのかな、という。いや、そんなモラル的なことを言いたいんじゃないんです。ここで浮き彫りになっているのは、目黒自身の弱さとズルさ。
~目黒のとった行動の意味~
目黒がマリアの過去を伝えた相手は、優介と黒須。そのどちらもマリアに好意を持っており、そのことは目黒も把握していました。そんな中、彼らにマリアの過去を伝えることにはどんな意味があるのか。それは、やっぱり牽制という意味合いが大きいように感じます。それも「あいつはこんなに苦しんでる、だから手出しはしないよな?」という、他人の傷を見せびらかすことによってひるませるという、言ってみれば最悪の手です(笑)
そもそもこの目黒はこのことを、あんなから伝え聞きました。その時の状況を簡単に振り返ると、マリアからの告白の情報を事前にキャッチしたあんなが、それを何としても阻止するために、マリアの過去をリーク。それを牽制の材料として、目黒にマリアからの告白を断らせるように仕向けます。これ、完全に今の目黒と同じ行動です。自分がされて苦しんだことを、気づかぬうちに自分でもしていたという、なんとも皮肉な状況に陥ってしまっています。

やっていることは、基本的にあんなと一緒。
~優介・黒須と、目黒をわけたものとは~
このことを聞いた優介は、「マリアのそばで笑ってる」と言い、黒須は「そんなことは関係ない。自分が抱きしめてやりたい」と、即座に自分の答えを出します。なぜ目黒だけは、彼らと違い、マリアの過去に屈してしまったのでしょうか。そんな目黒を見て、黒須は「逃げた」と言うわけですが、それはイコールでマリアを受けとめるだけの自信がないということになります。それはもう、女性経験の差…ではなく(笑)ここからは完全に憶測になってしまうのですが、彼だけは自分に自信を持たせるだけの、成功体験がなかったのではないかな、と。優介でいう笑顔、黒須でいう心の強さ。それにあたるものが、目黒にはありませんでした。8巻ラストにて、目黒とその父親が絡むシーンがあるのですが、目黒は完全に萎縮しており、まったく自分を出せずにいました。設定的に、彼の拠り所になるのは音楽。そこでの成功体験がない彼は、自分にまったく自信を持てず、結果としてマリアの過去を背負いきれずに、逃げ出してしまったのではないか、と。目黒とマリアが結ばれるのだとしたら、マリアは自身の過去を、そして目黒は音楽での成功(体験)をそれぞれ乗り越えないといけません。まだまだ道のりは遠そうです。
個人的に、先生が悪者役を一手に引き受けてしまっていてカワイソウだと思っているのですが、彼に光が当たるときはくるのか!?その辺にも少しだけ期待しつつ、9巻を待ちたいと思います。
■購入する→Amazon
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僕もね 無神経っていうか
人とのキョリ感がとれてないってよく言われます
だけどそれを
恥じたことも悪いと思ったことも一度もなかったなぁ
■8巻発売です。
突然姿を消したあんなから、マリアに届いた一通の手紙。そこに描かれていたものとは…!?あんな編、ついに完結!そして、2年に進級したマリアたちの前に現れた、黒須という1年生。TV番組の影響で好奇の目にさらされるマリアに、誰もが近付けないなか、彼だけは軽く壁を飛び越え、マリアの元に近づく。その掴みきれない距離感に、マリアは戸惑いつつも、彼の中に自分と同じものを見出すように。そしてそんな2人を横目に、目黒は苛立ちを募らせていくのだった…
あんな編完結しました~。最後は手紙で締めますか。実質的な最終回はやはり7巻。8巻では1話のみを使い、物語の整理に入りました。そして新章スタート。黒須編とでも言いましょうか。今度マリアの前に立ちはだかる(というとちょっと違うけど…)のが、新1年生の男の子でした。
正直というか、人と人との距離感が異様に近いというか、とにかく掴みきれない性格の持ち主である黒須くんは、TV番組ですっかり有名になっていたマリアに、真っ正面から近づいていきます。レベルとしては、もはやつきまとい。しかし笑顔で本音を語る彼を前に、異論は唱えることはできても、誰も彼を静止できる者はいません。気がつけばマリアと急接近。マリア自身にはその気はないものの、離れた位置からマリアを守ろうと決めた目黒は、気が気ではありません。今回はそんな黒須くんと、目黒のとあるやりとりから、目黒について少し書いてみたいと思います。
~黒須の登場で、目黒の弱さが浮き彫りになる~
感覚でマリアに近づく黒須に対し、目黒は「中途半端な興味だけであいつに手を出すな」と牽制します。しかしそんな目黒に対し黒須は…

一刀両断。結局それは、マリアを誰のものにもせずに、ずっとひとりぼっちでいさせるだけじゃないか。そう強く言い放ち、目黒を突き放します。
そして目黒のとった行動は、マリアの過去を黒須に話すこと。その理由は、彼が隠し通すことでマリアを守ろうと決めたからだと。うーん、なんだか違和感を感じるというか、納得できないというか。他人のデリケートな問題を、そうやすやすと無関係の人間に伝えていいのかな、という。いや、そんなモラル的なことを言いたいんじゃないんです。ここで浮き彫りになっているのは、目黒自身の弱さとズルさ。
~目黒のとった行動の意味~
目黒がマリアの過去を伝えた相手は、優介と黒須。そのどちらもマリアに好意を持っており、そのことは目黒も把握していました。そんな中、彼らにマリアの過去を伝えることにはどんな意味があるのか。それは、やっぱり牽制という意味合いが大きいように感じます。それも「あいつはこんなに苦しんでる、だから手出しはしないよな?」という、他人の傷を見せびらかすことによってひるませるという、言ってみれば最悪の手です(笑)
そもそもこの目黒はこのことを、あんなから伝え聞きました。その時の状況を簡単に振り返ると、マリアからの告白の情報を事前にキャッチしたあんなが、それを何としても阻止するために、マリアの過去をリーク。それを牽制の材料として、目黒にマリアからの告白を断らせるように仕向けます。これ、完全に今の目黒と同じ行動です。自分がされて苦しんだことを、気づかぬうちに自分でもしていたという、なんとも皮肉な状況に陥ってしまっています。

やっていることは、基本的にあんなと一緒。
~優介・黒須と、目黒をわけたものとは~
このことを聞いた優介は、「マリアのそばで笑ってる」と言い、黒須は「そんなことは関係ない。自分が抱きしめてやりたい」と、即座に自分の答えを出します。なぜ目黒だけは、彼らと違い、マリアの過去に屈してしまったのでしょうか。そんな目黒を見て、黒須は「逃げた」と言うわけですが、それはイコールでマリアを受けとめるだけの自信がないということになります。それはもう、女性経験の差…ではなく(笑)ここからは完全に憶測になってしまうのですが、彼だけは自分に自信を持たせるだけの、成功体験がなかったのではないかな、と。優介でいう笑顔、黒須でいう心の強さ。それにあたるものが、目黒にはありませんでした。8巻ラストにて、目黒とその父親が絡むシーンがあるのですが、目黒は完全に萎縮しており、まったく自分を出せずにいました。設定的に、彼の拠り所になるのは音楽。そこでの成功体験がない彼は、自分にまったく自信を持てず、結果としてマリアの過去を背負いきれずに、逃げ出してしまったのではないか、と。目黒とマリアが結ばれるのだとしたら、マリアは自身の過去を、そして目黒は音楽での成功(体験)をそれぞれ乗り越えないといけません。まだまだ道のりは遠そうです。
個人的に、先生が悪者役を一手に引き受けてしまっていてカワイソウだと思っているのですが、彼に光が当たるときはくるのか!?その辺にも少しだけ期待しつつ、9巻を待ちたいと思います。
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