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2009.02.05
笑うかのこ様辻田りり子「笑うかのこ様」


自らは火の粉をかぶらない位置から愛憎劇を楽しむ…
傍観者万歳!



■2巻発売です。
 ヒロイン・苗床かのこは、いわゆる目立たない女子生徒でクラスでも孤独に過ごす中学3年生。そんな彼女の楽しみは、完全なる傍観者としてクラスメイトを観察すること。愛憎渦巻く女子社会。簡単に騙される男子達。一筋縄ではいかないクラス事情を、決して火の粉のかからない位置から眺め、観察ノートにつけて悦に浸る…。それでも常に傍観者でいるってのは難しいもの。予期せず当事者側に巻き込まれた時、かのこ様はどう切り抜ける!?
 
 傍観者でいることを唯一無二の楽しみにしている女の子が、ひょんなことから当事者側に巻き込まれ、トラブルを解決していくというスクールコメディ。第1話では、校内一人気のある男女3人組に関わり、それがきっかけで彼らと仲良くなります。その際、当事者側にいるのも悪くはない、なんて考えたりするのですが、やはりヒロインの本分は傍観にアリ。その後転校を繰り返しつつ、行く先々で傍観を楽しみ、そしてお約束的にトラブルに巻き込まれます。その際に助っ人として出てくるのが、1話で仲良くなった3人組のうちのひとりということで、読切り形式ですが話はつながるという構成。
 
 傍観者のヒロイン視点で話が進行していくのですが、この分析がユニークで面白い。あえて言うならちびまる子ちゃんの野口さんか?(容姿やテンションは全然違うけど)。少々色眼鏡で見過ぎな気もしますが、コメディですし、あながち間違ってもいない感じ。ネームの量も多めで、がっつり読んだ気分になります。ただ若干コマ割りががちゃがちゃしてて多少読みづらいところがあるかもしれません。それにしてもヒロイン、転校多すぎじゃないか?別に転校させんでも、それなりに話は展開できそうなのに。


【オトコ向け度:☆☆   】
→学校生活におけるあるあるネタは、男女共通で楽しめる。シニカルなヒロインの視点も、男女というよりは、クラスでのポジショニング次第で共感度が変わってくるかも。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→視点がユニークで面白いです。ただ繋ぎの部分や、当事者のイベントがちょっと雑な感じがして実にもったいない。そこは編集さんが軌道修正してあげるところでは。


作品DATA
■著者:辻田りり子 作者ブログ→「辻田りり子のああでこうでそう
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(12月号~連載中)
■既刊2巻

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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