
自らは火の粉をかぶらない位置から愛憎劇を楽しむ…
傍観者万歳!
■2巻発売です。
ヒロイン・苗床かのこは、いわゆる目立たない女子生徒でクラスでも孤独に過ごす中学3年生。そんな彼女の楽しみは、完全なる傍観者としてクラスメイトを観察すること。愛憎渦巻く女子社会。簡単に騙される男子達。一筋縄ではいかないクラス事情を、決して火の粉のかからない位置から眺め、観察ノートにつけて悦に浸る…。それでも常に傍観者でいるってのは難しいもの。予期せず当事者側に巻き込まれた時、かのこ様はどう切り抜ける!?
傍観者でいることを唯一無二の楽しみにしている女の子が、ひょんなことから当事者側に巻き込まれ、トラブルを解決していくというスクールコメディ。第1話では、校内一人気のある男女3人組に関わり、それがきっかけで彼らと仲良くなります。その際、当事者側にいるのも悪くはない、なんて考えたりするのですが、やはりヒロインの本分は傍観にアリ。その後転校を繰り返しつつ、行く先々で傍観を楽しみ、そしてお約束的にトラブルに巻き込まれます。その際に助っ人として出てくるのが、1話で仲良くなった3人組のうちのひとりということで、読切り形式ですが話はつながるという構成。
傍観者のヒロイン視点で話が進行していくのですが、この分析がユニークで面白い。あえて言うならちびまる子ちゃんの野口さんか?(容姿やテンションは全然違うけど)。少々色眼鏡で見過ぎな気もしますが、コメディですし、あながち間違ってもいない感じ。ネームの量も多めで、がっつり読んだ気分になります。ただ若干コマ割りががちゃがちゃしてて多少読みづらいところがあるかもしれません。それにしてもヒロイン、転校多すぎじゃないか?別に転校させんでも、それなりに話は展開できそうなのに。
【オトコ向け度:☆☆ 】
→学校生活におけるあるあるネタは、男女共通で楽しめる。シニカルなヒロインの視点も、男女というよりは、クラスでのポジショニング次第で共感度が変わってくるかも。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→視点がユニークで面白いです。ただ繋ぎの部分や、当事者のイベントがちょっと雑な感じがして実にもったいない。そこは編集さんが軌道修正してあげるところでは。
作品DATA
■著者:辻田りり子 作者ブログ→「辻田りり子のああでこうでそう」
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:LaLa(12月号~連載中)
■既刊2巻
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