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Tag [新作レビュー] 2009.10.31
07228807.jpg高宮智「今宵音降る空の下」


夜が明けたら
鳴らせ
降らせ
その音を



■母の死をきっかけに、幸せな家庭は一気に崩れ去っていった。心の傷を負った天才ピアノ少女・ミヤビは、ショックから声を失ってしまう。そして声が戻らぬまま、ピアノ教室を営む直純の元に引き取られる。そこで出会った、一人の少年・ユエ。幼い頃からミヤビのピアノに焦がれ続けてきたユエは、ピアノを辞め心も閉ざしてしまったミヤビを前に、どうにかもう一度彼女を音のある世界に連れ戻そうと、躍起になるが…!?

 高宮智先生の12冊目のコミックスになります。今回のヒロインは、元天才ピアノ少女・ミヤビ。ピアノの才能豊かだった母親の死をきっかけに、父親はミヤビに強く当たるようになります。それまで愛され続けて育った彼女にとって、その仕打ちはあまりに厳しく、やがて心因性の発声障害に陥ってしまいます。ピアノを辞め声を失い、そして父親との関係がトラウマとなったまま、彼女は母親の後輩である青年・直純の元に預けられることに。直純はピアノ教室の講師。ミヤビはそこで、教室の生徒である少年・ユエと出会います。幼い頃からミヤビのピアノに憧れていたユエは、あの手この手でミヤビを音楽の世界に連れ込もうとしますが、ミヤビはそれを頑に固辞し続ける…というお話。


今宵音降る空の下
世界でいちばんお姫様。声は出なくとも、しっかり態度で示す。ここから段々と心を溶かしていくところが、見所のひとつ。


 今までの動きのある作品に比べると、かなり静の部分が強く、重苦しい雰囲気が強く出た作品となっています。とにかくヒロインが難しい性格。自分の殻に閉じこもり、断固として動こうとしないですし、動いてもまた心が読みづらいというか。彼女については作者の高宮先生も、「よくわからないままおわってしまった」と書かれていて、それが作品に直接出てしまったかなぁという印象。例えるなら、「キス&ネバークライ」(→レビュー)のみちるを、もっと可愛らしくした感じ。根底は病んでるのですが、それを少女漫画では描けないので、傷に留めたという感じでしょうか。おそらく、音楽でしか生きられない“天才”の再生の過程を描きたかったのだと思うのですが、そこまで行くのにかなり手間取ったというか、苦心されたのではと思います。そもそも完全な“天才”(=その世界のみでしか生きられない存在)を描いたのは、高宮先生は初めてのような気がします。今まではどちらかというとバカっぽいヒロインが多かったので、その部分もちょっと影響してるのかも。
 
 傷を癒すには、自分で乗り越えるか、もしくは全承認によって回復するのどちらかだと思うのですが、少女漫画は基本的に後者。ここでもユエがその役目を担うことになります。しかしながらヒロインが上手いこと反応してくれないため、物語は若干の曲折を経ることに。ヒロインの天才性と、相手役の承認。言ってみればピアノと恋愛の2本軸での展開なのですが、その曲折があったために、どこかすっきりしない感じを抱えたまま読み進めることに。ただ最後はしっかりまとめてくれます。それまでのもやもやを一気に吹き飛ばすような、気持ちの良いラスト。「終わりよければすべてよし」ではないですが、読後感はどの作品よりも爽快だったように思います。だから高宮作品はやめられない。
 
 所属しているChuchuは休刊で、おそらくちゃおに戻ることが濃厚だと思われますが、そちらでもなんとか頑張って欲しいものです。


【男性へのガイド】
→キャラで押すような強引さはありません。ストーリーものとして、少女漫画としての要素が強めに出た作品となっているので、今までの作品と比べると男性向きの感は薄いかも。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→ストーリーの破綻もありませんし、やるべきことはやりきったと思うのですが、どうにも消化不良の感が。先生自身も「迷走しながら描いた」と書いておられていますし、オススメまでは。


■作者他作品レビュー
高宮智「ソラオト」
高宮智「わたしのおくすり」


作品DATA
■著者:高宮智
■出版社:小学館
■レーベル:ちゅちゅコミックス
■掲載誌:ちゅちゅ(2009年3月号~9月号)
■全1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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