
ヒーロー気取り?
はっ!別に気どっちゃいねェよ
ヒーローだもん
■6巻発売。
派手な着回しの侍・胡鶴は、唐辛子が大好物の藩主の息子。形にとらわれない破天荒な性格の持ち主で、もっぱらの趣味は悪者退治。父親から悪党の情報を仕入れては、腕の立つ仲間を引き連れて現場に潜入。そして華麗な手さばきで悪党を退治!「侍の刀は人を守る道具」を信条に、今日も唐辛子をくわえながら胡鶴が暴れ回る!
ビーンズエースの人気連載、6巻の登場です。お話の舞台となるのは、江戸時代のとある藩。そこの藩主の息子・胡鶴が主人公。藩主の息子という身分でありながら、そこに固執しない破天荒な性格の持ち主である彼は、唐辛子と悪党退治に目がありません。忍者の錆、クールなメガネ侍苑兎、そして紅一点の藍。それぞれ腕の立つ仲間と共に、父親から伝え聞いた悪党を懲らしめます。基本的に「侍の刀は人を守るためにある」と考えている胡鶴は、懲らしめるだけで、命を取ったりはしません。それに対し、「刀は人の命をとるためにある」と考える旗本が登場したりと、人物は様々。

主人公自身も強い。正義は勝つという、わかりやすい明快なお話です。
スタイリッシュ江戸時代勧善懲悪活劇とでも言いましょうか。時代物とはいってもリアリティを求めているわけではなく、普通にメガネは登場しますし、主人公もロザリオしてたりします。こういう演出は角川や一迅などでしばしば見かけられるので、気にしないように。さて、このお話ですが、例えるならば「水戸黄門」でしょうか。巨大な敵がいて、それを討伐する…という話ではなく、あくまでその時その時で敵を倒し、スッキリするという方向。主人公を始はじめ、討伐仲間はみな腕が立ちますし、危機に陥ることはあまりありません。また藩主の息子ですので、自由に行動できるという特権が。そのため物語に重みはないものの、その軽さが奔放なキャラたちに上手くマッチし、いい意味でライトに楽しめる、爽やかな作品に仕上がっています。
主人公は自分のしていることを頑に「正義だ」と信じ、自分のことを「ヒーローだ」などと言ってしまうわけですが、個人的にそういうキャラが苦手だったり。いや、物語の性質を考えると、こういう設定で致し方ないですし、そういうのが魅力なんですけど、このあまりにはっきりした「正義対悪」という構図が、どうにも。水戸黄門は爺さんだから納得だけど、こっちは16の少年。その青臭さがさ…。ハリー・ポッターとかも、正直見てて苛ついたりするんですよね。いや、これはもう個人の好みの問題。これを素直に認められない私は、きっとどこか歪んでしまっているのでしょう。
【男性へのガイド】
→角川にはこういう男女向け限らずこういう作品結構ある気がします。したがって読みやすいはず。ライトなぶん取っつきやいのでは。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→いい意味でライト、悪く言えば薄味な、水戸黄門的スタイリッシュ活劇。ホームランはないけれど、コツコツ単打で…というイメージ。個人的な好みは置いておいて、素直に評価してこのくらい。
作品DATA
■著者:片桐美亜
■出版社:角川書店
■レーベル:ASUKA COMICS DX
■掲載誌:ビーンスエース(2006年Vol.3~)
■既刊6巻
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