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Tag [続刊レビュー] 2009.11.12
作品紹介はこちら→田村由美「猫mix元気譚とらじ」


07230684.jpg田村由美「猫mix幻奇譚とらじ」(3)


母は子を宿して母になるが
父と子は見知らぬ他人から始まる
父は
育てることで父になるのだよ



■3巻発売。
 行方知らずの妻・ジョゼと再会したものの、すでに彼女の気持ちは自分にないことを知り、愕然とするパイヤン。しかし落ち込んだまま何もしないわけにもいかない。彼はとらじ、そしてプロフェッサー・プーチェンと共に、魔法のネズミを探して「氷の宮殿」に向かうことに。しかしそこで待っていたのは、思いもよらない人物で…!?

 「7SEEDS」(→レビュー)に比べるとなんだか地味で生温い印象を持たれている気もする、こちらの作品。いえいえ、7SEEDSのような盛り上がりや切迫感はありませんが、こちらにはとらじという超絶カワイイ癒し系がいらっしゃいます。まだまだ子猫のとらじは、行動も知識も、そして感情も未発達。それに対し勇者・パイヤンも、親や保護者としてはまだまだの人間です。その二人が徐々に接近して、ともに成長していく様が魅力なのですが、3巻では今まで以上に2人の間に絆が生まれてきています。特に「王と銃士とぜんまいねずみ」にて、リオに心とシンクロして涙を流したシーンは、なぜか異様なまでに感動してしまいました。猫って泣くんですかね?この組み合わせはズルい。
 
 どうやら物語が本格的に動いてくるのは、4巻以降。魔法のネズミを追う手がかりというか、キーアイテムが3巻最後にて登場します。いよいよRPGっぽくなってまいりました。しかし黒猫のシャルルが再登場するとは。黒猫って大好きなんですよね。しかも今回のシャルルは前にもましてカッコよく、そして愛嬌があります。このままレギュラー化希望。どうやらハッチと因縁があるらしいので、その辺もその後描かれるのでしょうが、楽しみですね。mixはどのキャラも愛嬌がある。そしてそれがそのままこの作品の魅力に繋がっています。パイヤンを軸に描いても、7SEEDSは越えられませんが(多分)、mixたちを描くことで、まったく違う面で越えることが出来る…のではないかな。しかしとらじかわいいよ、とらじ。


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