
チーちゃん…
これも気のせいかもしれないけど
でもマンガの神様って…
やっぱりいると思うんだ
■小さな頃から漫画家を目指しているういちゃん(女)。しかし漫画家デビューが決まったのは、お隣に住む幼なじみのチーちゃん(男)で、ういちゃんはそのアシスタントをつとめる毎日。みるみる売れっ子になっていくチーちゃんを見て、いつかは自分も漫画家になって追い抜かしてやる…!そしたらなんとデビュー決定!尊敬できるマンガの先輩であり、ライバルでもある彼との、微妙な関係の行く末は…!?
隣に住む幼なじみの2人は漫画家さんで…という4コマ。ヒロインは少女漫画系の作品を描きたい女の子。幼い頃から隣に住む男の子・チーちゃんを巻き込み、マンガを描き続けていたところ、あろうことか彼のほうが先にデビューを飾ってしまいます。彼のフィールドは萌え系作品で、気がつけば連載3本の売れっ子に。そんな彼の元で、ういはアシスタントの仕事を続けています。いつか漫画家デビューして、彼を追い抜いてやる…!と決意はしてみる、やはり技術も見る目も彼のほうが上。またライバルというよりも、幼なじみとして、そして尊敬できるマンガの先輩として、接していくことになります。

今はまだ、ヒロインが支えられ見守られていることが多い。ここから彼の支えになり、絆を深めていく、その過程を温かく見守りたい。ういちゃん、いいキャラです、はい。
その後彼女も目先を変え、4コマ漫画家としてデビュー。晴れて漫画家同士として向き合っていくことになります。ヒロイン視点から、新人ならではの悩みや壁を描き、一方の幼なじみでは、人気作家ならではの悩みや壁を描きます。また作者としてのタイプもまったく別で、ヒロインはとにかく不器用。それに対し幼なじみは計算しつつ描くというタイプで、そこでの差異を見るのがまた面白いです。
「バクマン」や「初恋指南」(→レビュー)のような、漫画家の技術や処世術を描くような作品ではなく、あくまで「漫画家あるある」であるとか「漫画家心構え」みたいなところに落として、話を展開。大抵どちらか一方が壁にぶつかっているので、話が澱むということはありません。現時点では恋愛関係にはなく、また意識するにも至っていないのですが、果たして…。いや、このシチュエーションでなかったら困るんですけどね、でもまだそういう気配は殆どないので。とにかくしっかりとお話は進行しますよ。
後半から新人まんが家のあるあるネタが頻発し、非常に面白いのですが、多分前半で描かれているアシスタントネタもけっこうあるある要素を含んでいるのではないかと思います。私はよく知らないので何とも言えないのですが、どうしたってネタの端々に作者さん自身の経験や、マンガ家仲間からの伝聞と思しきものを感じてしまうので。マニュアルにはしない、昇華させてギャグネタにもしない。さも漫画家の日常風景を4コマ用に味付けしました…というゆるいリアルさと、わざとらしいキャラ配置によるデフォルメ感が同居する、なんとも不思議な味わいのする作品になってます。
【男性へのガイド】
→萌え的な方向に走るのかと思いきや、TIMEレーベルなのでそういった感じは抑えられています。同時に女子視点で少女漫画的な匂いも。いやでも芳文社で、そもそも男性には向いているでしょうし、表現としては「女性にも読みやすいんじゃない?」が正しいのかな。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→面白いのですが、未だに掴みきれていない感も。2巻に向けての引きがスゴく良かったので、とりあえずおすすめしておこう。
作品DATA
■著者:後藤羽矢子
■出版社:芳文社
■レーベル:MANGA TIME COMICS
■掲載誌:まんがタイムジャンボ(2008年4月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:619円+税
■購入する→Amazon