日暮キノコ「ウメニウグイス」
片想い
やめないから■好きな人に彼女がいても、恋は恋。フツーの女の子の梅原さんは、お相手の伊勢崎くんの記録「ISZK観察記」を日々充実させ、片想いを満喫中。ところがある日、そのノートのことが、クラス中に知れわたってしまう。「おわった…」絶望に暮れる梅原さんだったけど、意外にも伊勢崎くんは気にしていない様子。合わす顔が無いと避け続けた彼女にむかい、「フツーに話しかけてよ。ね、うめちゃん」とまで言ってくれた。伊勢崎くんを好きになって良かった!そう心から思っていたある日、彼が彼女と別れそうだという噂を聞いて…!?
日暮キノコ先生の初コミックスでございます。おめでとうございます。さてこちら、3話完結の連載作と、読切り1編が収録されています。ヒロインは、片想いの相手の観察記をつけて日々を楽しんでいる女子高生・うめ。遠くから観察しているだけで満足、それが話しかけられた日には、もう1日ハッピーでいられるくらい。ところがある日、その観察記がクラス中に知れ渡ってしまいます。当然落ち込むうめですが、当の伊勢崎くんはそれほど気にしていない様子。それどころか、それをきっかけに2人の距離は少しだけ近くなります。さらに舞い込む、恋人との不仲説。どうやら伊勢崎くんの彼女の浮気が原因らしいのですが、それを聞いたうめは…という流れ。その後当然色々あるのですが、そこからは読んでのお楽しみということで。
それでもあたしは、好きで好きで好きだ!! ぶち抜きでの心の叫び。この青春全力疾走な感じ、いいじゃないですか。
ストーリー自体はかなりオーソドックスなほうじゃないでしょうか。別フレの初連載はこうなる傾向が強いように思います。しかしこの作品、勢いがとにかくスゴい。イメージとしては、中原アヤさんの作品が近いでしょうか。全体をとおしてテンションが高く、とにかく疾走感がある。全力で走る姿って、青春をものすごく感じることができて、素敵ですよね。他のことなんか考えず、ただただがむしゃらに。同時収録の読切りも同じような要素があり、この作者さんならではの作風なのだろうな、と。笑わせてくる要素も強めで、終始楽しませてもらいました。
表題作もさることながら、同時収録の読切りもなかなか面白かったです。「木綿のハンカチーフ」をモチーフとして展開されるお話なのですが、このチョイスがいいじゃないですか。単に自分好みってだけなんですけど、そういう作家さんを見つけるのが、一つの醍醐味でもあるわけで、個人的には満足でございます。
【男性へのガイド】→「ラブ★コン」や「ナナコロビン」(→
レビュー)などを描いた中原アヤ先生のような作風。先の2作品が好きなような方であれば、十分読むことができるはず。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】→ハイテンションで展開される辺は非常に魅力的ではあるものの、ストーリー自体はやや凡庸なので、オススメとなるとどうだろう、という。初単行本ですし、これからという感じでしょうか。個人的にはもの凄く楽しみでございます。
作品DATA■著者:日暮キノコ
■出版社:講談社
■レーベル:KC別フレ
■掲載誌:別フレ(2009年7月号から11月号)
■全1巻
■価格:419円+税
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