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Tag [続刊レビュー] 2009.11.15
作品紹介はこちら→*新作レビュー* 東村アキコ「海月姫」


07230356.jpg東村アキコ「海月姫」(3)


作ろう!
クラゲのドレス作ろう!
そしたらこの金で…
天水館買うぞ!!!



■3巻発売です。
 尼~ずの楽園・天水館を地上げの魔の手から守るため、女装男子・蔵之介が金儲けを企みはじめた!「買いますよ」と宣言してしまった手前、もう後にはひけない。早速天水館にある金目のものを売ろうとするが、住人たちのオタクグッズは当然待ったがかかるし、アンティークっぽいアイテムはそんなに売れないし…。しかしそこに、一筋の光明が。クラゲオタク・月海の作るクラゲの縫い物が、意外にも好評だったのだ。これをきっかけに、一攫千金!…と思いきや、月海の心は蔵之介の兄・修と、その近くにつきまとう女狐の存在にかき乱され…
 
 女狐こと稲荷さん大活躍。この作品がいい意味でお馬鹿でいられるのは、きっとこの人のお陰。やっぱり明確な対立構造と悪意があってこそ、スピーディーな物語展開が生まれます。さてさて、ストーリーでは天水館の買収騒ぎで盛り上がっているのですが、これがきっかけで、一つの重要なイベントが発生して参りました。それが「クラゲのドレスを作ること」。

 1巻の時から、物語は大抵2人の視点から展開されていました。それは言うまでもなく月海と蔵之介なのですが、両者の語りが入る前のほとんどが、「母親へ向けてのメッセージ」という形式を取っていました。月海は亡き母へ、そして蔵之介は、幼くして別れた母親へ向けて。
 
 1巻冒頭、月海の回想シーンより
 
 お姫様のドレスみたいなフリフリのクラゲを見て
 お母さんこう言いましたよね
 女の子は大きくなったら
 みんなみんな
 美しいお姫様になれるんだよ って


 このように、この作品の重要なモチーフであったクラゲとお姫様(ドレス)。それを母親との思い出に繫げ、さらにもう1人の重要人物である蔵之介の語りにも母親の影を感じさせる。それをどう繋げるのか気になっていたのですが、ここで繋げてきますか。2巻でさほど動きがなかったので、このままドタバタギャグで乗り切るのかな、なんて考えていたのですが、全然そんなことはなかったぜ。


海月姫
3巻、蔵之介の回想シーン。こちらにもまた、母親との思い出に「ドレス」というアイテムが出てくる。


 月海は当然は、クラゲのドレスを作ることで今は亡き母と繋がり、そして一方の蔵之介もドレスを通して、今は離ればなれになっている母と繋がるきっかけを得るのです。こうして心の奥底にあるつかえを取り払うことで、今の自分を認めることに繋がっていくのではないかな、と思ったり。そして天水館を取り返せば、居場所と仲間まで確保できるというね。とりあえずは、しっかりドレスを作り上げて欲しいものです。当然より道しまくりでね!


■作者他作品レビュー
東村アキコ「ママはテンパリスト」


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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
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レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
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2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
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売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
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かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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