くらもちふさこ「駅から5分」(1)
そうか
ボクはきみを好きだったんだね■3巻発売しました。
東京都豊島区にある、駅から5分の花染町。事故によって記憶をなくした中学生、前世がオーロラ姫だと信じる変わり者の大学生、両親の不仲に心を痛める小学生、一人暮らしをはじめた高校生…。見知らぬもの同士、すれ違うこの町で、重なりあう景色とその想い…
少女漫画界に燦然と輝く名作家の一人、くらもちふさこ先生の連載作品です。1巻が出るまでに2年を要した大作…というわけではなく、途中で入院してたからなのですが、それでもやっぱり名作でございます。話の舞台となるのは、東京都豊島区にあるとされる、花染町。そこに集まった人々の日々を、オムニバス形式で描いていきます。ちなみに花染町というのは実在しない町ですが、都会的な雰囲気にどこか懐かしさを残したアットホームな匂いをからめた、なんとも味のある町となっています。2話目にて、そのお話の主人公が降り立った駅を見ると、ツツジの植栽が特徴的ということから、駒込駅近辺あたりかと思われます。大学4年間で山手線に乗っており、駒込駅も通過してたのですが、1回も降りたことないや。

風景と暮らしを切り取るから、妙な安心感と味わい深さが生まれる。
さて、オムニバス形式で話が進むということでしたが、登場人物はほぼ固定。だいたい5チームくらいに分かれてるのですが、それらが入れ替わり立ち替わり展開され、最終的には輪となり繋がるというような形。登場人物たちを数珠つなぎで線にしていくというのが、オムニバスの定番なのですが、そうではなく、イメージとしては三つ編みみたいな感じですかね?最近だといくえみ綾先生の「潔く柔く」(→
レビュー)なんかがこれに当てはまるような気がします。まぁあそこまで人物を絞っているわけではないですが、絞り込まないからこその面白さと味わいがあるっていうね。そもそもいくえみ先生はくらもち先生から影響を受けているので、今こうしてこの2作を楽しめるってのは本当に幸せなことなのかもしれません。
てかこういう形式で、年代もバラバラでも、しっかり少女漫画しちゃってるからスゴい。おとなもこどもも、おねーさんも…。オススメでございます。
【男性へのガイド】→甘ったるさはない。少女漫画ではあるが、読みにくさはないはず。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】→上手いですよ、面白いですよ。単純にくらもちラインの作品が好きってのもあるのでしょうが、それを差し引いても。
作品DATA■著者:くらもちふさこ
■出版社:集英社
■レーベル:クイーンズコミックス
■掲載誌:コーラス(2005年8月号~連載中)
■既刊3巻
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