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Tag [新作レビュー] 2009.11.23
32343499.jpg松本ミナオ「スイートマシンガン」


うん!
ナナ
ドMだから大丈夫!



■大好きな光輔くんを日夜ストーキング愛の追跡する、女子高生・ナナコ。彼の体操服の匂いに興奮し、何度暴言・暴行を加えられてもめげない超ポジティブシンキングなド変態。一方被害者の光輔くんは、甘いものに目がないスイーツ・オタクの男の子。ナナコなんて目に入らない…いや、悪い意味で目に入る。ふられても投げられても決して諦めず、ひたすら彼にアタックを続けるナナコの激愛の行方は…!?

 超ポジティブド変態女子高生×スイーツオタクのS系男子が繰り広げる、ビターでスイートなラブコメディです。ラブコメというか、コメディか。ヒロインは、とにかく押しの一手で愛する彼に迫る女子高生・ナナコ。ドMというか、盲目的でタフなおばかさん。どこかで見たことあると思ったら、のだめですかね。ただこちらの場合、のだめのダメな部分を強調したようなカンジになっておりますが。さて一方の愛される男の子・光輔くんはというと、スイーツが好きってだけの、いたって普通の男子。一応Sキャラ設定されてますが、ナナコみたいなのに迫られたらそりゃ暴言も手もでちゃうよ、うん。そんな二人をはじめ、女装好きの美青年や、ガテン系男子、そして腹黒男子など、キャラの立った脇役たちが話に彩りを添えます。
 

スイートマシンガン
必要とあらば、自らストラップになることも厭わない。
 

 キャラ設定や展開はとうにぶっ飛んでいて、その上で笑いを作るという流れ。こういう話に、整合性や自然な流れなど求めてはいけません。とにかく前向きなヒロインの奇行を楽しむ。そんなお話かと。一応脇役たちもそれ相応にキャラ付けがされているのですが、ヒロインの前ではそんなものも消し飛んでしまうというね。いやぁ、こうやって見るとキモイとか通り越して怖いですが、こういう強さは正直憧れますよね。鈍感力とか、そんなレベルじゃない。ラブコメのラブが弱い気もしますが、そういったヒロインの強さを肯定的に受け取ることで、しっかりと物語としても機能してくる気がします。ただそれは個々人の勝手ですし、ヒロインを容認した時点でギャグの面白さは減ってしまうような気もするので、一概にはいえないわけですが。
 

【男性へのガイド】
→コメディとして楽しめるのか…?笑いに関してはそれぞれのツボがあるので置いておくとして、キャラ構成などを見るとやっぱり女性向けでしょう。
【私的お薦め度:☆☆   】
→パロディなし、力技での笑わせ方。非常に爽快ではあるものの、個人的には引っ掛かるものがなかったような。


作品DATA
■著者:松本ミナオ
■出版社:アスキーメディアワークス
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:電撃Festival!!Heaven(Vol.1~)
■全1巻
■価格:580円+税

■購入する→Amazonbk1

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