宇佐美真紀「幸せいくらで買えますか?」(1)身動きができなかった
もう
おしまいだ…
■幼い頃に両親を亡くした桐は、唯一の肉親であった祖母までも亡くし。高校生にして天涯孤独の身になってしまう。有名な音楽家であった父が遺した遺産を目当てに、見知らぬ親戚たちが桐の引き取り手に立候補するが、桐自身はどうして良いかわからない。そんな中葬儀に現れたのは、椎名と名乗る若い男。しかも登場するやいなや、いきなり祖母の遺言状を取り出し、桐の後見人になることを宣言。得体の知れない男の人と、一緒に暮らすってどういうこと…!?
現在ベツコミにて「ココロ・ボタン」(→レビュー)を連載中の宇佐美真紀先生の過去作になります。ヒロインは、高校生にして天涯孤独の身になってしまった高校生・桐。父親は音楽家、そして母親はピアニストと一流の音楽科の家庭に育ったため、遺産は莫大。そんな彼女の遺産を目当てに、親戚たちはこぞって彼女を引き取ろうとします。しかしそんな彼女を引きとることになったのは、全く見知らぬ青年。祖母の葬儀の日にふらりと現れ、遺言状を提示、彼女の後見人として一緒に暮らすようになります。彼の正体は父親の教え子で、13歳でCDデビューし天才と謳われたバイオリニスト・椎名拓海。しかし現在はこれといって活動しておらず、食うや食わずの生活を送っているという状況。そんな2人が共に暮らすことで、お互いの行く先を真剣に考えるようになっていくという、同居ものの恋物語でございます。

バイオリンができる男性ってそれだけでカッコいいから困る。しかも普段が適当な感じだったりすると余計に。
何かと打たれ弱いヒロイン・桐は、いかにもベツコミ連載作のヒロインという感じで非常に好感が持てます。そんな彼女の相手をする拓海は、マイペースな自由人。漫画で描かれる芸術家ってのは異様な程に繊細か、かなりの大雑把さんかに分かれるように思うのですが、彼は大雑把の典型のような青年。留学したはずが、むしろ世界旅行がメインになっていたりと、とにかく自由。最初はそんな彼に反発する桐でしたが、その全てを包むような優しさと、彼の奏でるバイオリンに気がつけば魅了され、想いを重ねるようになっていきます。
これといったドラマは起こらず、やや地味な展開が続くのですが、それがいい意味で素朴さと親しみやすさを醸し出しているので、好きな人は好きでしょう。序盤で祖母を亡くしているので、悲しみ成分はこれ以上詰め込めないということなのか、切なさは控えめ。宇佐美先生の持ち味である、甘さを売りにしたような作品に仕上がっています。ただ読切りの甘さを連載用に薄めたような感じで、現在の連載作のような濃密な甘さは出ていないのでご注意を。全体的に安定感のある、読みやすい恋物語です。
【男性へのガイド】
→それほどの甘さはないので、スタンダードな恋物語としては読みやすい部類か。ただその分清涼感があるとかそういうわけではなく、薄めたような甘さなので、楽しめるかはわからんです。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→これといって特筆すべきようなポイントはないものの、かといってマイナスになるような要素はないわけで、買ったなりに楽しめる安心感のある作品という感じでしょうか。
■作者他作品レビュー
宇佐美真紀「春行きバス」
宇佐美真紀「恋*音」
作品DATA
■著者:宇佐美真紀
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ('05年2月号〜9月号)
■全2巻
■価格:390円+税
■購入する→Amazon







