雪森さくら「王子様拾いました」
ある日
王子様拾いました。■「極道のお姫様」と巷で恐れられている乃愛は、本当に極道の娘で、組の将来を背負う十代目。気質は極道だけど、それでもやっぱり中身は普通の女子高生。ひとつ上のボディーガードである奏に、絶賛片想い中。しかしその想いも空しく、彼からは「早く好きな男でも作れ」と躱される毎日。しかしそんな日々にもついに変化が。ある日街中を歩いていると、行き倒れた美少年を発見。助けを乞われたので思わず保護すると、なんと彼の正体はとある国の王子様で…!?
雪森さくら先生の初コミックスでございます。おめでとうございます。ヒロインは極道の娘・乃愛。姫城組は代々女が頭を張るため、彼女はその後継者。当然扱いも丁重になるのですが、その彼女のボディーガードを務めるのが同じ高校に通うひとつ上の男の子・奏。彼はとある理由で姫城組に居候しており、常に彼女の側にいるという状況。そんな彼に、乃愛は絶賛片想い中。しかし身分の違いもあり、その想いは届くことはありません。そんな中現れた、とある国の王子様・橘ハルカ。日本人である母の意向で、単身日本に渡り嫁探し。その末に辿り着いたのが、乃愛だったというわけですが、それにはとある裏があり…という感じ。物腰柔らかに距離を詰めて、ごくごく自然にアプローチをしてくる王子・ハルカと、側で静かに身を守ってくれる奏。その二人の間で、ヒロインである乃愛は心を揺らし続けます。

心は奏にあるものの、タイトルが示しているとおり、絡みは王子との方が断然多い。
同じ集英社でも、別冊マーガレットとマーガレットでは若干毛色が異なるという印象があります。別冊マーガレットは現実重視で、マーガレットはネタ重視みたいな。それゆえにマーガレットからは時折ぶっ飛んだような設定の作品が飛び出すことがあるのですが、この作品もそんなマーガレット色を強く出したような作品になっています。ヒロインは極道の娘で、ボディーガードに恋をする…という設定は、藤原規代先生の「アラクレ」(→
レビュー)を思い出しますが、この物語はさらにそこに一国の王子様を投入。しかも彼は王子でありながら、ロシアンマフィアのボスでもあるというスゴい設定。当たり前のようにピストルが出てきて、当たり前のように発砲します。この辺は個々人のモノサシがあると思うのでどうこうは言いませんが、それすらも当たり前に組み込まれてしまう程に、次々と驚くべき展開が続くという。
超展開…というのは普通の流れの中に突如としてスゴい展開が登場するから使われるので、これとは違うのか。とにかく場面場面の切り替わりがもの凄いハッキリしていて、勝つそのふれ幅がものすごく大きいという。こういう作品はさいきんのりぼんでも見られるように思うので、そこから持ち上がってきた読者たちを掴むのにはうってつけかも。まだまだ絵も話も改善の余地はあるものの、ジェットコースターのように展開されるこのノリは、使い方次第では大きな武器になるのかもしれません。
【男性へのガイド】→男性には向かんかと思いますよー。
【私的お薦め度:☆☆ 】→個人的に合わなかったというのもありますが、まだまだ粗い感じが。とはいえまだ1作目ですし、これからいくらでも。
作品DATA■著者:雪森さくら
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成21年No.13~No.19)
■全1巻
■価格400:円+税
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