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Tag [続刊レビュー] 2009.11.26
作品紹介はこちら→藤宮あゆ「僕らはいつも」


07230979.jpg藤宮あゆ「僕らはいつも」(4)


青春は
いつも予想外の方向へ跳ねる
焦り 失敗し 罰を受ける
でも
絶望するには早すぎる



■4巻発売です。
 晴れて榛名の彼女になった典だったけど、早々に榛名が失踪!?しかも家には血の跡が…。あまりに不可解な状況にパニックになる典だったが、その後榛名から電話が。「しばらく家を空ける。でも大したことない。」そう言い放つ榛名だったが、典の心配はやはり募る。
 一方京ちゃんは冴花への恋心を自覚し、告白を決意。しかし冴花の心は、柳津先生でいっぱい。そして、その柳津先生が今度町に帰ってくることになって…!?


~もはや京ちゃんと冴花にしか興味がないのだが…~
 冴花への恋心を自覚して以降、一気にヘタレ臭が強くなった京ちゃんですが、4巻ではそのヘタレっぷりと青臭さがMAXになってきております。もうね、最高と言わざるを得ない。そんな京ちゃん、冴花の憧れの人・柳津先生が町に戻ってくると聞いて、慌てて想いを伝えようとします。そしてついに…


僕らはいつも4


 ヘタレ君が頑張る姿って、どうしてこうも素敵なんでしょうか。意を決して伝えた想い。しかし冴花は、この告白を華麗に躱してしまいます。というのも、普段の(女に関しての)素行の悪さが祟り、信じてもらえなかったという…。そのため冴花は「ふざけすぎ」と激怒。それに対しなんとか信じてもらおうと思った京ちゃんは、あろうことか無理矢理キスをしてしまいます。そのあとは少女漫画お決まりの展開で、さらに溝は深まるという(笑)


~京ちゃんの爆笑告白計画表~
 モテモテ人生を歩んできた京ちゃんですが、それゆえに今まで告白などしたことがありませんでした。そこで勉強の出来る彼が選択したのが、「完全なる計画をたてる」というもの。あるある(笑)徹夜して作った予定表がこちら…

1、冴花を放課後呼び出す
2、さらっと告白
3、冴花驚く
4、すかさず制止
5、うつむき加減に「自分の気持ちを知っておいて欲しかっただけなんだ」
6、冴花感動
7、返事はきかない(こわいので)
8、さみしく笑顔で
9、さわやかな風を残し走り去る
10、冴花再び感動
11、国さんの所でやけバッティング


 しかし実際は1番のみしか消化できませんでした(笑)でもわかるんですよ、こうやっていらぬ計画を、紙はなくとも脳内に思い描くことって。しかも告白→OKではなく、想いだけ伝えて彼女の心に何かしらの“痕”を残すということが主目的になっている辺、彼なりにかなり勝算のある勝負だったはず。しかしその結果がこれ。告白というか、恋愛ってのは大抵シナリオ通りに行かないものです。こと告白に関していえば、成功するか否かなんて、相手の気持ちとタイミングが全てなわけで、計画を立てる(タイミング無視&自分の気持ちの整理にばかり目が行き、相手の気持ちはあまり考えない)って時点でこの告白は敗戦濃厚でしたね。しかしむちゃくちゃになってしまったのが幸いしてか、この告白はうやむやに。冴花と京ちゃんの恋の行方は、まだまだわかりませんよ~。


~同じ傷を持つ者同士は一緒にはなれない~
 一応メインヒロインである典たちについても書いておかないと。こちらは典と榛名、そして消費者金融の娘・知菜の三角関係が展開されていました。3巻は榛名に対し、知菜がナイフを取り出したところで切れたのですが、それはそれだけ知菜が真剣に榛名を欲していたと言う証拠。榛名自身は知菜のことを、自分に似ている存在と言っていましたが、榛名も知菜も不幸せな家庭で育ったという共通項があり、知菜はそこに同じものを感じ惹かれていったのでした。心理学的には、同じ傷を持つ者同士はくっつきやすいと言われているそうです。しかしそういう組み合わせは、なまじそこを拠り所としているために、傷の克服という方向には向かわず、落ちたままになってしまうことが多いそうです。そのためか、物語では同じ傷を持ったもの同士がくっつくということは非常に稀な気がします。このお話もそう。榛名は同じ傷を持つ知菜ではなく、典を選びます。知菜は可哀想ですが、仕方ないのかもしれませんね。
 
 とりあえず典のほうは一段落した感じでしょうか?5巻でメインとなりそうなのは、京ちゃんと冴花の関係。この二人が好きな私としては、なんともうれしいところ。5巻も楽しみですねー。しかし青いです、青い。


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