タカハシマコ「乙女座・スピカ・真珠星―タカハシマコ短編集」
うん
だから
もっと知りたいんだ■短編5編を収録。それでは表題作をご紹介しましょう。
星座好きの水香はある日、電車の中で乙女座の男の子から声をかけられる。それまでのやり取りを聞いていたので、状況は一瞬で理解できた。星占いで12位だった彼は、“隣に立つ人があなたのラッキーパーソンで、運命の星の人”という占い結果を信じ、その時隣にいた水香に声をかけてきたのだ。当然水香は拒否するものの、次の日も彼は同じ電車に乗ってきて…
百合・BL・コミカライズと多方面での活躍を見せるタカハシマコ先生の、マーガレットでの掲載作品を集めた短編集でございます。正直タカハシ先生と純正少女漫画ってあまり繋がる印象がなかったので、発売予定を見た時は驚きました。さてこちらですが、計5編の短編が収録されています。どれも主人公は高校生の女の子。恋をしていたり、恋をされたり…思春期の、微妙に揺れ動く少女達の心を、かわいらしい絵で繊細に綴っていきます。

タカハシマコ絵ってだけでもう…それだけで得した気分に。みんなかわいいです。
帯を見るに「5つのアイテムで紡ぐ」なんて書いてある通り、アイテムが物語中で重要な役割を果たします。言ってみれば特定のアイテムや場所を通して、二人ないし三人で同じ想いや秘密を共有するという効果が狙われているわけで、そういう話が好きな方はもうこれ以上ないってくらいハマるんじゃないでしょうか。ただ一方で、そちらに意識が集中してしまったのかわかりませんが、どこかガチャガチャした印象を受けるような話があったことも事実。いい話なのですが、「ちょっと無理があるんじゃない?」とか「不自然な流れだなぁ」という。正攻法でも十分面白いと思うのですが、やっぱりそうはさせないのか。ということで、一般的な少女漫画の読切りとはちょっと違うテイストの作品もあり、新鮮さは保証。しかし少女漫画という前提でなく、タカハシマコ作品という前提で読み始める人が多いであろうことを考えると、それだけで簡単に片付けられるってワケでもないのでしょう。
そんな中、個人的にもっとも良かったのが、表題作にもなっている「乙女座・スピカ・真珠星」。他の4編の半分程度のページ数で構成されているのですが、無理している感があまりなく、サラッと終えたところが逆に好印象。単に占いとか星空っていう、自分にとってある意味普遍的なモチーフが使われたからそう感じられただけかもしれませんが。というかこれを含めて今まで3作ほどタカハシマコ先生の作品をレビューしてきたわけですが、どれもタカハシ先生のメインフィールドでない作品ってのはどうしてなのでしょう。ネタBLに、コミカライズ。しかし通常作品をレビューすることはレーベル的にもまずないと思われ。
【男性へのガイド】→かわいいですよね、タカハシ先生の描くキャラって。話自体は女性向けなのですが、それだけでもう克服できちゃうような気がする不思議。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】→オススメするかどうかスゴく迷ったのですが、全部通して楽しめるかと言われるとちょいと微妙な。しかしどれも幸せな気持ちになれる良いお話です。
■作者他作品レビュー
*新作レビュー*タカハシマコ/桜庭一樹「青年のための読書クラブ」*新作レビュー*タカハシマコ「デビルくんとエンジェルちゃん」作品DATA■著者:タカハシマコ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成20年No.7,No.20,平成21年No.5・6合併号,No.18), ザマーガレット(平成21年7月号)
■全1巻
■価格:400円+税
■購入する→
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