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Tag [新作レビュー] [読み切り/短編] 2009.11.26
07230980.jpgタカハシマコ「乙女座・スピカ・真珠星―タカハシマコ短編集」


うん
だから
もっと知りたいんだ



■短編5編を収録。それでは表題作をご紹介しましょう。
 星座好きの水香はある日、電車の中で乙女座の男の子から声をかけられる。それまでのやり取りを聞いていたので、状況は一瞬で理解できた。星占いで12位だった彼は、“隣に立つ人があなたのラッキーパーソンで、運命の星の人”という占い結果を信じ、その時隣にいた水香に声をかけてきたのだ。当然水香は拒否するものの、次の日も彼は同じ電車に乗ってきて…

 百合・BL・コミカライズと多方面での活躍を見せるタカハシマコ先生の、マーガレットでの掲載作品を集めた短編集でございます。正直タカハシ先生と純正少女漫画ってあまり繋がる印象がなかったので、発売予定を見た時は驚きました。さてこちらですが、計5編の短編が収録されています。どれも主人公は高校生の女の子。恋をしていたり、恋をされたり…思春期の、微妙に揺れ動く少女達の心を、かわいらしい絵で繊細に綴っていきます。


タカハシマコ
タカハシマコ絵ってだけでもう…それだけで得した気分に。みんなかわいいです。


 帯を見るに「5つのアイテムで紡ぐ」なんて書いてある通り、アイテムが物語中で重要な役割を果たします。言ってみれば特定のアイテムや場所を通して、二人ないし三人で同じ想いや秘密を共有するという効果が狙われているわけで、そういう話が好きな方はもうこれ以上ないってくらいハマるんじゃないでしょうか。ただ一方で、そちらに意識が集中してしまったのかわかりませんが、どこかガチャガチャした印象を受けるような話があったことも事実。いい話なのですが、「ちょっと無理があるんじゃない?」とか「不自然な流れだなぁ」という。正攻法でも十分面白いと思うのですが、やっぱりそうはさせないのか。ということで、一般的な少女漫画の読切りとはちょっと違うテイストの作品もあり、新鮮さは保証。しかし少女漫画という前提でなく、タカハシマコ作品という前提で読み始める人が多いであろうことを考えると、それだけで簡単に片付けられるってワケでもないのでしょう。
 
 そんな中、個人的にもっとも良かったのが、表題作にもなっている「乙女座・スピカ・真珠星」。他の4編の半分程度のページ数で構成されているのですが、無理している感があまりなく、サラッと終えたところが逆に好印象。単に占いとか星空っていう、自分にとってある意味普遍的なモチーフが使われたからそう感じられただけかもしれませんが。というかこれを含めて今まで3作ほどタカハシマコ先生の作品をレビューしてきたわけですが、どれもタカハシ先生のメインフィールドでない作品ってのはどうしてなのでしょう。ネタBLに、コミカライズ。しかし通常作品をレビューすることはレーベル的にもまずないと思われ。


【男性へのガイド】
→かわいいですよね、タカハシ先生の描くキャラって。話自体は女性向けなのですが、それだけでもう克服できちゃうような気がする不思議。
【私的お薦め度:☆☆☆  】
→オススメするかどうかスゴく迷ったのですが、全部通して楽しめるかと言われるとちょいと微妙な。しかしどれも幸せな気持ちになれる良いお話です。


■作者他作品レビュー
*新作レビュー*タカハシマコ/桜庭一樹「青年のための読書クラブ」
*新作レビュー*タカハシマコ「デビルくんとエンジェルちゃん」


作品DATA
■著者:タカハシマコ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成20年No.7,No.20,平成21年No.5・6合併号,No.18), ザマーガレット(平成21年7月号)
■全1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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