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Tag [新作レビュー] 2009.11.28
07230533.jpg蜜樹みこ「蜜味ブラッド」(1)


……ああ やはり
そなたの血は甘いな



■ひなたの通う学校の近所で相次ぐ吸血事件。吸血鬼なんているワケない!そうきっぱりと言い放つひなただったが、どうにも最近怪しげな人物に心当たりが…。それが隣に越してきた、吸血鬼小説で有名な作家・潤也。怪しげな言動の彼に疑いの目を向けたものの、後日違う犯人から襲われ、その危機を潤也に助けてもらう。それがきっかけで仲良くなる二人だったが、彼女の中の「吸血鬼では…」という疑念は消えず…

 吸血鬼もののラブロマンスでございます。ヒロインはごくごく普通の女子高生・ひなた。そんな彼女の通う学校の近辺で、最近女子高生を狙って血を大量に抜き取るという猟奇的な事件が連続して起こっており、学校はその話題で持ち切り。その手口から、吸血鬼が犯人では!?との噂が起こるものの、ひなたは「そんなものはいない」ときっぱり否定。ところが彼女の隣家に、吸血鬼物語の作家である潤也が越してくることで、その考えに迷いが。どうにも彼は、吸血鬼くさいのだ。後日真犯人に襲われそうになったところを彼に助けられるのですが、その疑いは拭いきれず。そして徐々に明らかになっていく、彼の真実…という感じ。落ち着いた雰囲気に、古くさい言葉遣いと、かなりの歳上に見えるものの、年齢は20歳。それ相応に歳の差ラブなのですが、設定が設定だけにその辺はあまり気にならず。


密味ブラッド
吸血鬼にエロスはつきものですよ。しかし構図としては、潤也が頑に拒むという感じ。そこがまた良い。


 吸血鬼系統の話は少女漫画ではもはや定番中の定番で、その中でも小学館は意外にもこのジャンルが充実していたりします。例えばプチコミでは「ミッドナイトセクレタリ」(→レビュー)があり、こちらは吸血鬼ものではないものの、雰囲気として非常に似ている「BLACK BIRD」(→レビュー)なんて作品がベツコミで人気を博していたり。そんな中ぶつけてきたのがこちらの作品。掲載誌的にはもっともファンタジーが根付きそうな場所ではあるものの、出版社的に考えるとどうだろう…。なんて思っていたら、人気は今ひとつのようで、2巻完結となるそうです。そのことはあとがきにてネタにされていたので、よっぽどなのでしょうか。けどその明るさがあれば大丈夫!次も応援したいです。
 
 とりあえず比較無しにさくっと感想を述べると、吸血鬼という設定に引っぱられすぎて、ヒロインが彼に惹かれていく過程がごっそり抜けおちていたような印象が。結果好きになり、自ら抑えきれずアプローチ…というのは良いのですが、そこに行くまでの心情があまり描かれておらず、吸血鬼騒動のなかに溶け落ちてしまったかな、と。ただあまりもたもたしても、少コミ的には人気でないのかもしれないですし、そもそもそんな描写にはニーズがないのかもしれませんが。また前作に続いて、相手役がどこかお上品な雰囲気を持っていて、個人的に非常に好印象。古くさい言葉遣いは必要だったのか疑問ですが、そういう雰囲気は狙って作り出せるものではないと思うので、まぁいいのか。


【男性へのガイド】
→男性にはどうだろう。ちょっと難しい気がしますが。
【私的お薦め度:☆☆   】
→個人的には前作の方が好みだったかな。こちらは吸血鬼って設定が2人の心情描写の邪魔をしている感じがして。ただその分ドラマチックになっているので、それは好みの問題。


■作者他作品レビュー
*新作レビュー* 蜜樹みこ「恋、ひらり」


作品DATA
■著者:蜜樹みこ
■出版社:小学館
■レーベル:Sho-Comiフラワーコミックス
■掲載誌:Sho-Comi('09年第16号~)
■既刊1巻
■価格:400円+税

■購入する→Amazonbk1

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かくかくしかじか
東村アキコ「かくかくしかじか」(1)
レビュー
東村アキコ先生が贈る、美大受験期の自伝漫画。東村アキコ作品らしい勢いの良さだけでなく、急転してのシリアスな締めなど、一冊に笑いと感動が詰め込まれた贅沢な作品。




王国の子
びっけ「王国の子」(1)
レビュー
稀代のストーリーテラー・びっけ先生が描く“影武者”もの。王位継承権を持つ王女の影武者に、町の芝居小屋で役者をしていた少年が選ばれるというストーリー。良く練られた背景を説明するために、1巻まるまる使うような、重みと読み応えのある一作。




シリウスと繭
小森羊仔「シリウスと繭」(1)
レビュー
2012年で一番の掘り出し物。独特の絵柄で描き出すのは、どこにでもあるような高校生の恋愛模様。けれどもそんなありふれた感情を、ゆっくりと丁寧に描くことで、なんともいえない味わい深さが生まれています。出会いから仲良くなる過程、そして恋を自覚し、葛藤する様子まで、その全てが瑞々しさに溢れていて、なんとも愛おしい。




トーチソング・エコロジー
いくえみ綾「トーチソング・エコロジー」(1)
レビュー
売れない役者が、役者仲間を亡くしたと思ったら、お次は隣に高校の同級生が越してきて、さらには何やら自分にしか見えない子どもの姿が見えるように…。どこかゆるさのある不思議なテイストのお話なのですが、いくえみ作品で実績のある「ある者の死と、残された者の感情」を描き出す類いの作品ということで、この先きっと面白くなってくることでしょう。




BEARBEAR
池ジュン子「BEAR BEAR」(1)
レビュー
高校生には到底見えないロリっ子ヒロインが好きになったのは、遊園地のクマの着ぐるみ。着ぐるみの中身は同じ学校の子で、結局付き合うことになるものの、その後も変わらず相手はクマの被り物をしているという、シュールな光景が繰り広げられます。なんとも奇妙な相手役、かつなんともかわいらしいヒロインの、初々しいやりとりに終始ニヤニヤ。




かみのすまうところ。
有永イネ「かみのすまうところ。」(1)
レビュー
期待の若手作家・有永イネ先生の初オリジナル連載作は、宮大工の世界をファンタジックに、そしてファンシーに描いた青春ストーリー。宮大工という伝統ある重厚な世界を、美少女な神様をはじめ、これでもかとポップに描き出します。かといってシリアスさがないわけではなく、コミカルとシリアスが丁度良いバランスで推移。まだ1巻のみですが、これから先の展開を大きく期待させてくれる作品です。
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