おがきちか「Landreaall」(1)
「うたってる?」
「うん
ずっと歌ってるんだ」■15巻発売しました。
アルトニア王国の西の端、歌う樹護る街エカリープ。20年前、魔の山の火竜を封じるために自らを投げ出した洞詠士マリオンの宿る樹が、その街の丘の上にあった。エカリープの領主の息子・DXは、その樹に宿るマリオンと恋に落ちる。しかしマリオンは彼の愛を受けたがために、火竜を封じる力が低下し、眠りについてしまう。それを目の当たりにしたDXは、彼女を救い出すため、妹・イオンと護衛の六甲と共に旅に出るが…
もう15巻。この作品も長いですね。お話は、とある英雄の息子が、街を護る樹に宿る洞詠士に恋をし、彼女を救うために旅に出るというファンタジーアドベンチャー…なのですが、実はそれは3巻で一応の結末が出てしまいます。それ以降はどうなっているのかと言うと、「学園編」としてとある学院に入学し、その枠の中で妹や護衛の六甲、そして友人たちと共に様々な物語を繰り広げます。だから前後ではかなり話としての落差があるわけで、一口に説明するのはやや難しいという。しかし全体を通した雰囲気というのは、「急がず焦らず、強要せず」なんとなく緩く明るい雰囲気が流れており、いわゆるガッチガチのファンタジー作品とは一線を画すように思います。ややおとぎ話っぽいエッセンスが含まれているというか。

基本的に遠慮はしない。考えてないような言動をするものの、大抵は確信犯。食えないヤツです。
主人公であるDXは、領主の息子というよりは、火竜を封印した英雄たちの息子という側面が強め。その伝説の英雄である両親はご健在で、その二人にしっかりと育てられたDXと妹のイオンは、どちらも非常に腕が立ちます。そのため通常戦闘ではまず危機に陥ることはなく、安心してみていられるひとつの要因に。それじゃあ盛り上がりが…と思うかもしれませんが、この作品のベースは独特の緩さにあり、また必要なときにはしっかり盛り上げてくるので心配はご無用。飄々とした性格のDXと、勝ち気な性格のイオン、そして常に一歩後ろからという感じの六甲の掛け合いが、非常に微笑ましくそして楽しいです。
物語の一貫性を求める人には向かないかもしれませんが、ややキャラ依存で物語を楽しむ傾向の強い方は、こういう変化はむしろごちそうさまという感じなのでしょう。ただ全体的な雰囲気はさほど変わらないので、全く別ものとして捉えるのもそれはそれでという感じ。この緩さがそれを許しているようにも思えるしね。
【男性へのガイド】→まずまず読みやすいのではないでしょうか。嫌う要素は殆どないかと思われます。あとはどういったジャンルを好むかって問題。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】→まぁ悪く言う人はほとんどいないんじゃないかなぁ、という印象。いい意味で、気を張らずに読めるのは、大きな武器だと思います。
作品DATA■著者:おがきちか
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(平成14年12月号~連載中)
■既刊15巻
■価格:各552円+税
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