
もしも あたしが
逃げなかったら
今ごろ どうなってた?
■読切り5編を収録。
素敵な恋に憧れ、共学の高校に入学した千尋には、後悔していることがひとつあった。それは中学のとき、小中と一緒に過ごしてきた一番の男友達・大樹とのとある出来事
Cheese!とかSho-Comiはコミックス裏表紙で内容説明ではなくやけに感情的なモノローグが入ることがあるんですが、これって編集さんが考えているのでしょうか?すごいですね…ってのっけから全く関係のない話をしてしまいましたが、ちゃんとしなくては。ということで、七尾美緒先生のデビューコミックスのご紹介。Cheese!はエロ特化のモバフラの作家さんも多数抱えているので、コミックスを実地で手に取ってみないとどちらだかわからないという面倒くささがあるのですが、こちらは表紙を見ただけで、「あ、プラトニック系統の作家さんだな」とすぐに判断することができました。色使いといい、表紙の女の子カワイイです。計5編の読切りが収録されているのですが、どれもピュアでプラトニックな高校生の恋愛模様を描いた作品になっています。

一番最近に描かれた作品「消えた半分、残ったリアル」。ページ数的にも充実の本作が、一番安定しているように見えた。
なんていうか、新人さんはある程度派手な話で攻めてきがちだと思うのですが、この先生に関していえばもの凄く地味です。感動路線なのはわかるのですが、むしろこのテンションはベツコミくさいぐらいで、まぁ個人的には好きだよね、という。ただ殆どの話が似たようなパターンだったので、その辺をどう見るか。特に相手役の勇気を振り絞ってのアプローチに対し、「イヤっ」(胸ドーン!的な行為)がほぼ全ての話に入っている所とかね。恐らく全ての話が、ある程度好いている状態→付き合うという過程を描いているから、こうなってしまうのかな、と。話のパターンではなく、設定を色々変えることでまた違う面が見れそう。何気に笑いをちりばめるのも上手いですし。
一定のレベルでまとまっている中、3話目だけは絵も話も「これはひどい」って出来なんですよね。なんだこれはと思ってあとがきを見てみると、どうやらデビュー2作目だったそうで、本人も思わずorz。しかし逆に考えれば、それだけの成長が見られたってことで、特に一番最近の作品と比較すると本当にその凄さがわかります。このままいったら、ひょっとしたらひょっとするかも。
【男性へのガイド】
→どうだろう、やっぱり女の子に優しいお話になっているので、男の子に感情移入して楽しむって余地はあまり無さそう。ただどちらかというと大人しい話なので、取っつきやすくはあるかもしれません。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→1冊でこれだけの成長を追えるのも珍しい。完成度云々ではなく、もっといろんな話が見たかったな、という。純情路線でどこまでポジションを確保できるのか、今後も要注目の作家さんです。
作品DATA
■著者:七尾美緒
■出版社:小学館
■レーベル:Cheese!フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!
■全1巻
■価格:400円+税
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