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Tag [オススメ] [新作レビュー] 2009.12.07
32349401.jpg岩岡ヒサエ「星が原あおまんじゅうの森」(1)


ここを守ってくれ
ここは私の居場所だ
ここにはお前がいるから
私の居場所になるんだ



■星が原には、風のよく通る大きな森があった。住宅街の真ん中で、そこだけこんもりと緑をたたえており、子ども達の間では神様の森だとか、おばけの森だとかいう噂が絶えない。そんな森の奥に、ひっそりと佇む一軒家。そこにはひとりの男が、かわいらしい精霊たちと共に暮らしていた。彼の仕事は、誰かの手助けをして、スタンプカードにスタンプを押して貰うこと。そんな星が原の雑木林に、一羽のニワトリが迷い込んできたけれど…?

 『土星マンション』で話題を集める岩岡ヒサエ先生の、ネムキでの連載作になります。喪失と再生、かなしみとやさしさが行き交うファンタジック巨篇ということで、物語の始まりは謎が多いままに進んでいきます。話のスタートとなるのは、飼い主に捨てられてしまったニワトリ・キイロのお話。星が原の公園に捨てられたキイロは、追いかけてくる子供から逃げるうちに雑木林にあるお屋敷にたどり着きます。そこで出会うのが、そこに住む人間の青年・蒼一と、一緒に暮らす精霊たち。この雑木林一帯は不思議な空間で、動物や植物、道具や自然現象などが具現化、精霊として姿が見えるようになります(見える人には)。そんな場所で、たどり着いた精霊たちの手助けをし、その見返りとしてスタンプカードにスタンプを押して貰うという謎の行動をとっている家主の青年・蒼一。そんな不思議な人と精霊、不思議な森を描いたこのお話は、おとぎ話のような優しさと残酷さを含み、なんとも独特の風合を持ったストーリーが展開されています。


星が原あおまんじゅうの森
一見人間のような姿の精霊もいるし、動物感たっぷりの精霊もいる。基本は2足歩行で、みんな性格は明るくおちゃめ。


 スタンプカードを中心に、青年・蒼一と精霊たちとの触れ合いを優しく描いていくのかと思いきや、途中から物語の核心を明らかにするような回想が挟入れられ、おおよその枠が明らかに。蒼一に想いを寄せる女性(のような)の神がおり、その神に想いを寄せる、少年のようなもう一人の風の神が登場。蒼一に嫉妬した少年の神は、以来蒼一に徹底した悪意を持って攻撃を仕掛けるように。その圧倒的な悪意と力とよって、多くのものを失った彼は、再生のためにこの雑木林にとどまり、今の生活を始めるようになります。帯にて“喪失と再生”“かなしみとやさしさ”というワードが踊るように、優しさ一辺倒の暖かいお話ではなく、時にどうしようもない悲しみや悪意、不条理を投入しつつ進行。主人公・蒼一の物語はほぼ決定的なだけに、あとは蒼一に肩入れする神と、蒼一を攻撃している風の神の間にどう物語を作っていくのか。もしかしたら、意外と早めにまとまっちゃうこともあるかも。
 
 何はともあれこの独特の空気感はそうそう簡単に作れるものではないでしょう。説明は少ないものの、するべきところはしっかりしてくるので、わかりにくいということもありません。クセというか独特の作風がどう受け取られるかがポイントだと思うのですが、果たして。個人的には、優しさから描く幾つかの物語が抜群にハマったので、期待したいなとは思うのですが、2巻ではどうなるんでしょうね。


【男性へのガイド】
→おとぎ話(非ロマンチック)のような優しさと切なさを持った作品。男女差はさほど影響ないと思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→すずらんの話とかベタなのに涙目になっちゃったよ…。やや独特の作風であることと、2巻以降の展開がどうなるかわからないのでこのくらいに。いや、5つでも良かったかなぁ。


作品DATA
■著者:岩岡ヒサエ
■出版社:朝日新聞社
■レーベル:眠れぬ夜の奇妙な話コミックス
■掲載誌:ネムキ(2008年9月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:600円+税

■購入する→Amazonbk1

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