
ありがとう ありがとう
誰もに感謝したい気持ち
こんな気持ちも 多分すぐにどっかいっちゃうんだろうけど
なるべくたくさん 思い出せる時があるといいな
■2感発売です。
桃内しょう子、気がつけば40過ぎ。3年前に籍を入れて、2ヶ月前に出産したばかり。いまは産休を取り、育児に専念している。これといって華のある生活ではない。ささやかな毎日の中に、ちょっとした贅沢を加え、楽しむ。この年になり、子どもが生まれると、なんでもない言葉ややりとりが、どうしようもなく愛しく感じられることがある。子供を通して見えてくるのは、自分と旦那の関係と、自分自身の存在について…
南Q太さんが描く、40すぎの女性の生活を描いたコミック。主人公になるのは、40すぎの女性であるしょう子さん。ハゲでメガネだけどとっても優しい旦那さんと、生まれたばかりの子供と共に暮らしています。その忙しさから、ときにいらいらを募らせ、そしてときに必要位以上の感動を運んできてくれたりと、子供を通して様々な状況を学ぶしょう子さん。そんな彼女の毎日を、やけにリアルなトーンで描いていきます。

綺麗な部分だけを描くなんてことはしない。ダメな所もしっかり描く。だけれどもそういった描写があるが故に、感動のシーンなどでは、その反動でか、よりリアル感が増す。
やけにリアルなんですよ、この作品。雰囲気なんのかなんなのかわからないのですが。変に飾ろうなどという考えは毛頭なく、その場面その場面に合致したヒロインの考えを見て「ああ、なるほど」と。感謝するときはするけど、嫌うときは嫌う。常にどちらかに傾いてる…というような作品と違い、このふらふら加減がどっちつかずな感じでもやもやするも、読んでいるとその空気感がすべて正しいのでは、と思えてしまうような感覚。随所に女性あらではの悩みや考えが埋め込まれているのでしょうが、男の私はそれを感じ取るのには限界があるわけで、こういう話を読む度に、感じ取れない男で残念だ、と思います。
一貫したテーマとなっているのは、子供。とはいえそこを通して見えてくるのは、他でもない自分自身の姿でもあります。疑問→解決、疑問→解決の繰り返しで、前に進んでいく姿が特徴的で、ドライな空気を出しつつも最後にはしっかりと明るくまとめるあたりは、作家さんの力量と良心みたいなモノが感じられます。
【男性へのガイド】
→女性のほうが向くとは思います。男性に向かないというわけではないですが、共感というファクターで考えると、どうしても。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→オススメも考えましたが、やや地味なので。この独特の空気感という、あこの作品に流れるやけにリアルな時間は、一度体感しておいても損はないかも。
作品DATA
■著者:南Q太
■出版社:祥伝社
■レーベル:フィールコミックス
■掲載誌:フィールヤング(2006年11月号~連載中)
■既刊2巻
■価格:各933円+税
■購入する→Amazon