
人と違った格好とか生き方をしてるからって
なにがいけないの?
■元ナンバーワンキャバ嬢・愛瀬レオナ、23歳。17の時に生んだ愛娘・心亜と暮らすため、貯金をつくって故郷の宮崎に帰還!これからは、心亜と一緒に楽しい毎日を…!と思っていたけれど、盛り髪にキラキラメイク、服もふりふりピンクのレオナに、世間の目は厳しくて…。仕事も見つからなければ、学校では親子揃って好奇の目に晒される毎日。姫も女もママも…やっぱり好きだからやめられない…!どうする!?愛瀬レオナ!!
那波マオ先生の新作ですよー。前作「ハーフ・アンド・ハーフ」(→レビュー)では、常識にとらわれないはちゃめちゃでカッコいいオカマを登場させ、物語を盛り上げましたが、今回もハチャメチャなキャラがメインに据えられております。それがヒロイン・愛瀬レオナ。16歳で妊娠し17歳で出産するも、子供の父親は早くに他界。愛する娘を育てるために娘を両親に預け単身上京し、そこでキャバ嬢として名をあげ、ある程度貯金がたまったところではるばる故郷に戻ってきたというパワフルガールです。戻ってきた時には娘は小学校の入学を控える年にまで成長。母とは違い地味に育った娘・心亜と、また再び親子の時を築いていこうとします。しかし「この格好はアイデンティティ」と、まったくその格好を変えようとしないレオナに、世間は厳しく、結果娘にまであらぬ被害が及んでくるようになります。

「あんな暴走気味のかーちゃん持って、お前も大変だな」この一言に尽きます。大変だけど、その暴走は常に自分のことを思っての行動だと分かっているから、娘は決して嫌がったりしない。
基本的には正義感が強く、曲がったことが大嫌いな一本気な性格。しかしそれが裏目に出てしまい、自分のしたいことは貫くという頑固さも持ち合わせてしまっているヒロイン。最初は娘のために、普通の母親を演じようとしたものの、早々に挫折。以来開き直って、したいことはする!と自分のスタイルで押し通すようになります。そうすれば当然、彼女だけでなく娘の心亜ちゃんにまであらぬ被害が及ぶわけですが、意外にも親子の絆は強く、例えいじめられたとしても娘はぐっと辛抱、母を責め立てるようなことはしません。言ってみれば娘の方が大人で、親の方は子供のまま大きくなってしまったというもの。その真っ直ぐに主張する姿は、どこか「斉藤さん」(→レビュー)的であるものの、結局は彼女のワガママや偏見にすぎない部分も多分に含まれていて、読み手によってはイライラを募らせる原因にもなり得ます。とりあえずできすぎた娘さんだよ…。「マイガール」のコハルちゃんクラスに良い子だよ…。
「娘のために何でもやってる!」と主張する割には、娘の平穏な生活を阻害する一番の要因になっているその格好は改めないんかい!という主張があると思うんですが、そもそもそこを気にしたら負け。この作品の一番の見所は、常識や普通という枠に囚われない自由な主人公が、縦横無尽に駆け回って爽快に暴れ回るというところにあるわけで、そもそも常識とか世間体とかいう枠を当て嵌めること自体が無意味。どうしたってそういう見方をしてしまう人は、読まない方が良く、そうでない人も、あらかじめそういった構えで読み始めるのが吉。
【男性へのガイド】
→このヒロインがムカつくって人も居そうな気が…。この勢いと娘の出来の良さは確実に+でしょうが、ヒロインがどう出るか。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→読み手はかなり絞られる気がします。合わない人はとことん合わないはず。個人的には那波先生好きなのですが。
作品DATA
■著者:那波マオ
■出版社:講談社
■レーベル:KCデザート
■掲載誌:デザート(平成21年10月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
■購入する→Amazon