ジョージ朝倉「ピースオブケイク」
なんてノーテンキな笑い方をするんだろう
びっくりした
一瞬
べったりした空気が押し流された■本日5巻発売。完結しました。
梅宮志乃、24歳。調子に乗って二股したこじれから、バイトをやめ、果ては本命の彼氏とも別れてしまった。人間関係に辟易しきった志乃は、全てをリセットするために、叔父が管理人のアパートに引っ越しをする。そこで出会ったのが、彼女と同棲中で、ヒゲに坊主のお隣さん・京志郎。生活していくためにとりあえずレンタルビデオ屋でバイトをすることにするが、なんとそこの店長が京志郎だった。お隣さんとして、そして店長とバイトとして付き合っていくうちに、志乃は次第に京志郎に惹かれていくが…。
24歳、なんだか全てが中途半端なヒロイン・志乃の恋模様を描いた作品。ジョージ朝倉の作品ですが、「恋文日和」のようなシネマチックさも、「溺れるナイフ」のような思春期独特の尖った感性が描かれることも、「平凡ポンチ」のような勢いもありません。あるのは、リアルな空気感。オトナの恋愛を描いてるわけではない。ただひとりの、24歳の女性の恋愛が描かれているのです。そして、不思議とそれに魅きつけられる。
ストーリー自体は幾分かはっちゃけた内容なのですが、とにかく空気感がリアルなためにそう感じさせません。また、ただヒロインの内面を描き出しているだけでは、どうしても単調になってしまいがちなのですが、節々に笑いを仕込んでくるので飽きさせずに読ませてくれます。もともとギャグもいける作者さんだからね。
ジョージ朝倉の他作品に比べると、少々インパクト不足な印象でしたが、5巻を読んでそんなものは吹っ飛びました。始めから計算していたのか、後から回収にまわったのかわかりませんが、作品としてがっちり完結。1巻で頻繁に登場した元カレ・正樹の幻影がここで利いてくるとは…すごい。ただラストに向かう繋ぎの部分は、悪い意味でジョージ節が出てしまった感じもしましたが。でも、終わりよければすべて良し!2年近く待った甲斐がありました。ごちそうさまでした!
【オトコ向け度:☆☆ 】→モテ体質のヒロイン・志乃。ジョージ朝倉の作風自体は男性向けなんだろうけど、このヒロインはどうなんだろう。内面をちゃんと描き出してるから大丈夫だとは思うけれど。
【私的お薦め度:☆☆☆☆☆】→お薦めかどうかだけを考えれば、☆4つってところか。でも好きなんだもの。5巻読んで幸せな気持ちになってしまったんだもの。
作品DATA■著者:ジョージ朝倉 作者サイト→「
JAZZE7」
■出版社:祥伝社
■レーベル:FEELコミックス
■掲載誌:フィールヤング(2003年8月号~2009年1月号)
■全5巻
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