
チョコに魔法がかかるのは
ここに心に
とけたい想いがあったから
■オシャレな町に佇む、イケメン兄弟ショコラティエが経営するちょっと特別なチョコレート専門店。イケメン兄弟を目当てに、連日たくさんの女性たちでにぎわうこのお店には、「ここでバレンタインのチョコを買うと100%恋が叶う」なんて噂まであったりする。真実のほどはわからないが、この店に訪れる人は皆、ちょっとした幸せな時間を過ごし、満足そうに去ってゆく。仕事に恋に人間関係に…足を踏み入れれば、誰もが知るのです。みんなに伝えたい、幸せの味を
「このマンガがすごい!2010」オンナ編にて「ちはやふる」(→レビュー)で堂々の1位を獲得した末次由紀先生の、読切り形式の連作短編集です。舞台となるのは、とあるオシャレな町に佇むチョコレート専門店「クーベルチュール」。イケメン兄弟のショコラティエが切り盛りするこの店には、連日彼ら目当ての女性たちが足を運んできます。そんなお客さんたちが、それぞれに抱える悩みにスポットを当て、そこにチョコレートを絡めつつ物語を展開するというのがこの作品のコンセプト。話のたびに主人公は違いますが、店員たちはレギュラーとして毎回話に登場。ナビゲーターの役目でなく、しっかりとストーリーに絡んでくるところが、ひとつの特徴と言えるかもしれません。

やっぱりモノローグよりも俄然会話のほうが心にくる。感情を表に出して語るシーンなどは圧巻。
雰囲気として似ていると感じるのは、復帰第1作目の「ハルコイ」(→レビュー)。「ハルコイ」は完全な短編集でしたが、今回はそれがシリーズになっただけという感じ。チョコレート専門店を切り盛りするイケメン2人組でのストーリーの広がりもあるのでしょうが、決してそれはこの作品の枠を大きくするようなものではなく、あくまで作品の味わいに幅を持たせるという程度かと。基本はあくまで読切り。恋愛だけに特化することなく、幅広い年齢層を主人公に据え、ハートフルな物語を展開していきます。このどこかださいというか、懐かしさを残したようなキャラ設定が、持ち味なんでしょうね。それは「ちはやふる」でも同じ。
帯に「『ちはやふる』とは180度違う」と書いてある通り、作者の作品を「ちはやふる」しか知らない読者の場合、多少面食らうことはあるかもしれません。ただどちらかといえば作者本来のポジションと言うのは、「ちはやふる」よりもこちらの方が近いという印象が個人的にはあり、古参のファンはむしろこちらでこそ良いという意見があるかも。ただやっぱりモノローグではなく、人と人とのぶつかり合いで魅せるという部分は共通しており、真剣な気持ちを前面に押し出したようなシーンの方が映えるというか、しっくり来るなぁ、と。
【男性へのガイド】
→恋愛特化ではないので、読みやすさはあると思います。ただ「ちはやふる」のスタンスで入ると、拍子抜けしてしまうかもしれないので注意。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→オススメにしようか迷うものの、現在同時連載中の作品があることを考えると、難しい。そもそも比較対象になるかも怪しいわけで。個人的には、もっとぶつかりあうような汚い部分を見せつけるような話が欲しい。でもハートフルだからまずないんだろうなぁ。
作品DATA
■著者:末次由紀
■出版社:講談社
■レーベル:KC BE・LOVE
■掲載誌:BE・LOVE(2009年第2号~不定期連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
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