作品紹介はこちら→*新作レビュー*宇野紗菜「秘密のエトワール」
宇野紗菜「秘密のエトワール」(2)
ああ でも
気づいたばっかり
だったんだけどなあ…
好きだと …
■2巻発売。
男装カフェという特殊な環境に最初はとまどった真琴だったが、そこで働きはじめ、気がつけばそこに居場所を見出していた。スマートにサポートしてくれる先輩たちに、なにより自分をこの世界に導いてくれた店長の優雅は、真琴の憧れ。そんなある日、優雅が実は男だということを知り彼女はさらに衝撃を受けるが、それでも自分を導いてくれた彼のような星になることを目指し、日々精進を重ねる。そこへ、伝説の前店長で優雅の兄・凌雅が見せに姿を現す。いきなり「優雅をフランスへ連れて行く」と宣言する凌雅、どうやらこの人、優雅と深い因縁がありそうで…!?
前回こちらの作品をご紹介したときに、コンプレックスを抱えるヒロインが、居場所を見つけ自分を受け入れることで、その克服を目指していくという一貫したテーマが描かれていて、非常に好感が持てる、と書いたと思うのですが、2巻でもその姿勢は変わりません。しかし描かれる主体が変更。1巻でおおよそコンプレックスというものを克服したヒロイン・真琴は、2巻ではメインではなくサイドで描かれていきます(視点はあくまで彼女ですが、扱いという面で)。そして真琴の変わりにメインで描かれたのが、真琴にとって憧れの存在である優雅でした。

自分の存在意義とは。自分とは何なのか。1巻での真琴にも通じるような悩みを、優雅も抱え苦しむ事になる。
何にも揺さぶられることなく、ただただ悠然と構えているように見えた優雅ですが、その余裕はかつての店長・凌雅の登場によって一気に崩れていくことになります。前店長・凌雅は、このカフェの設立にも携わり、今のエトワールの基盤を作り上げた功労者。そのスマートで優雅な立ち振る舞いに、多くの女性たちがめろめろに。しかし数年前に、留学を理由に電撃引退。後釜として弟である優雅を指名し、伝説だけを残して去っていきました。そんな凌雅に対し、なぜ優雅はコンプレックスを抱くのか。それは、現在の優雅が他ならぬ凌雅の劣化コピーであるからでした。お客様の前では兄弟と公言していますが、実際には従弟で、しかも凌雅は女。なすがままにこの世界に引き込まれ、気がつけば勝手に後釜に指名されている…しかも自分は男で、多くのお客様は自分を通して凌雅を見ている。必死だった彼はそのニーズに応えるべく、必死に凌雅のマネをするのですが、それが凌雅の復帰によって一気に打ち崩されてしまったのです。真琴にとっての煌めくエトワールもまた、コンプレックスを抱え生きていたのでした。
その後の展開はコミックスを読んでのお楽しみですが、とにかくブレずにひとつのテーマで描かれているところが本当に心地よいです。舞台設定や描き方など、やや耽美さが強く出たようなクセのある作風なのですが、そのせいか決して読みにくさは感じさせません。同時に恋愛描写も組み込み、3巻以降での着火の準備も着々。これは期待できそうですよ。これからはコンプレックスの克服というよりは、既存の登場人物たちで恋愛などの人間関係を描いていく方向になっていきそうですが、それはそれでこの舞台設定はおあつらえ向き。描こうとしていることが明確なので、だれないでしっかり読める。やっぱりこの作品、面白いと思います、うん。
■購入する→Amazon
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ああ でも
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だったんだけどなあ…
好きだと
■2巻発売。
男装カフェという特殊な環境に最初はとまどった真琴だったが、そこで働きはじめ、気がつけばそこに居場所を見出していた。スマートにサポートしてくれる先輩たちに、なにより自分をこの世界に導いてくれた店長の優雅は、真琴の憧れ。そんなある日、優雅が実は男だということを知り彼女はさらに衝撃を受けるが、それでも自分を導いてくれた彼のような星になることを目指し、日々精進を重ねる。そこへ、伝説の前店長で優雅の兄・凌雅が見せに姿を現す。いきなり「優雅をフランスへ連れて行く」と宣言する凌雅、どうやらこの人、優雅と深い因縁がありそうで…!?
前回こちらの作品をご紹介したときに、コンプレックスを抱えるヒロインが、居場所を見つけ自分を受け入れることで、その克服を目指していくという一貫したテーマが描かれていて、非常に好感が持てる、と書いたと思うのですが、2巻でもその姿勢は変わりません。しかし描かれる主体が変更。1巻でおおよそコンプレックスというものを克服したヒロイン・真琴は、2巻ではメインではなくサイドで描かれていきます(視点はあくまで彼女ですが、扱いという面で)。そして真琴の変わりにメインで描かれたのが、真琴にとって憧れの存在である優雅でした。

自分の存在意義とは。自分とは何なのか。1巻での真琴にも通じるような悩みを、優雅も抱え苦しむ事になる。
何にも揺さぶられることなく、ただただ悠然と構えているように見えた優雅ですが、その余裕はかつての店長・凌雅の登場によって一気に崩れていくことになります。前店長・凌雅は、このカフェの設立にも携わり、今のエトワールの基盤を作り上げた功労者。そのスマートで優雅な立ち振る舞いに、多くの女性たちがめろめろに。しかし数年前に、留学を理由に電撃引退。後釜として弟である優雅を指名し、伝説だけを残して去っていきました。そんな凌雅に対し、なぜ優雅はコンプレックスを抱くのか。それは、現在の優雅が他ならぬ凌雅の劣化コピーであるからでした。お客様の前では兄弟と公言していますが、実際には従弟で、しかも凌雅は女。なすがままにこの世界に引き込まれ、気がつけば勝手に後釜に指名されている…しかも自分は男で、多くのお客様は自分を通して凌雅を見ている。必死だった彼はそのニーズに応えるべく、必死に凌雅のマネをするのですが、それが凌雅の復帰によって一気に打ち崩されてしまったのです。真琴にとっての煌めくエトワールもまた、コンプレックスを抱え生きていたのでした。
その後の展開はコミックスを読んでのお楽しみですが、とにかくブレずにひとつのテーマで描かれているところが本当に心地よいです。舞台設定や描き方など、やや耽美さが強く出たようなクセのある作風なのですが、そのせいか決して読みにくさは感じさせません。同時に恋愛描写も組み込み、3巻以降での着火の準備も着々。これは期待できそうですよ。これからはコンプレックスの克服というよりは、既存の登場人物たちで恋愛などの人間関係を描いていく方向になっていきそうですが、それはそれでこの舞台設定はおあつらえ向き。描こうとしていることが明確なので、だれないでしっかり読める。やっぱりこの作品、面白いと思います、うん。
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