作品紹介はこちら→*新作レビュー*水城せとな「失恋ショコラティエ」
水城せとな「失恋ショコラティエ」(2)
片想いは苦しいね
でも
好きでいられる気持ちは幸せだよ
■2巻発売でございます。
帰国して以来、ショコラティエとして怖くなるほど順調にキャリアを重ねる爽太。マスコミに「チョコレート王子」と騒がれ、独立して新たに始めた店も順風満帆。それもすべて、かつて自分の事をふった憧れのサエコさんを振り向かせるため。ブランド志向の彼女に見合う男に…決して安くない、悪い男にならないと。そんな想いをチョコにぶつけ、数々の作品を生み出してきた。そんな中、突如として現れたライバル店。チョコに対する圧倒的なポリシーを目の当たりにし、爽太の心に若干の変化が…!?
「このマンガがすごい!2010」オンナ編12位おめでとうございます。「黒薔薇アリス」(→レビュー)のほうがランクインするかと思ってたのですが、こちらでしたか。いやしかし、2巻に入ってますます面白いです。
~面白いけど心に何か別の感情も残る~
とりあえずこの作品を読む度に、面白いと思いながらもどこか気持ち悪いというか、スッキリしない感情が残るんですよね。それはサエコさんがものすごく肩すかしをしてくるキャラだからだったり、爽太がとにかく名前とは正反対のうじうじ君だからだったりするからなのですが、もっと大きな視点で見るならば、全てが整然としてないことが要因なのかな、と。色々な思惑や感情が混ざりあって、決して単純な構造に見せない。だからこそスッキリしないし、だからこそ面白い。まぁとりあえず爽太くん、どうしたいんじゃい、と。
~爽太のチョコへ向かう姿勢を変える、2つの出会い~
2巻では爽太のチョコレートに対する姿勢に、若干の変化が現れました。それが、ライバル店の出現と、同じ片想いを抱えるモデルの女の子との出会い。
それまではチョコへの情熱=サエコさんへの想いで、彼がショコラティエであることから、彼が生み出すチョコレートまでの全てが、サエコさんという存在によって構築されていました。しかしライバル店のショコラティエ・六道の出現によって、自分のショコラティエとしての自信が一気に揺るぎます。そんな六道を前にしたときの爽太の心境がこちら
サエコさんの喜ぶチョコを作りたい。そんなところが出発点だった爽太は、その自分の弱くて曖昧なビジョンを自覚させられ、落ち込みます。その後六道から、バレンタインにチョコが届くわけですが、その際のお返しとして作ったチョコは、完全に対六道でのチョコ。サエコさんへの想いは排除されました。今まで彼とサエコさんだけで完結していたところに、風穴が開いた形となります。とはいえ普段用のチョコはあくまでサエコさん向け。そう簡単に姿勢が変わるはずもありません。彼女の存在はやっぱり根深いし、何かしらの核となる代替物が見つかり、さらにサエコさんと決着がつかない限り、この状況は揺るがないでしょう。
~えれなの登場は結構大きいんじゃないかという~
それでも変化していく必要がある。そんな中採られる方法は、彼の中のサエコ100%というその純度を、下げていくこと。「恋はドロドロに汚れるものだ」というのがひとつのテーマになっているわけですが、1巻の時点ではあくまでサエコ100%で、また彼女と対峙する際はあくまでキレイな面のみ見せていた印象が強く、「全然汚れてないじゃん」と。それが2巻では汚れてきますよー。それがモデルのえれなの登場。パーティーで出会い、同じ難しい片想いを抱えていることを知り意気投合した二人は、その後肉体関係を持つようになります。その行為自体は別になんてことないと思うのですが、その後のチョコ作りがね、ハイ。彼はえれなのネイルアートからインスパイアされたデザインを、自分のチョコに採用します。この変化ですよ、この変化。今までは彼とサエコだけで完結していたところに、他者の存在が入ってくる。チョコは爽太の想いをそのまま体現する存在ですから、この変化は大きいですよ。汚れるってのはこういう事なのかな、と。この後どういった変化を見せていくのかはわかりませんが、えれなという存在はひとつのターニングポイントになりそうですね。
他にもえれなとの、ネイルは男ウケしないんじゃないかという会話にて…
じゃあ爽太はどうなの?と。六道もそうですが、プロってのはターゲットになる不特定多数を幸せにすることが目的なわけで、やはり現在の爽太とは、スタンスが決定的に異なります。同じ叶わぬ想いを抱えつつも、実は全然異なる二人。これからどういうケミストリーを起こしていくのか、やっぱり気になりますね。
最後に、薫子さんかわいいですよね、薫子さん。「寒い日の合コンは薄着しろ」というサエコさんの言葉を聞いた時の反応が「この子天才かもしれない!!」って。
■購入する→Amazon
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bk1

片想いは苦しいね
でも
好きでいられる気持ちは幸せだよ
■2巻発売でございます。
帰国して以来、ショコラティエとして怖くなるほど順調にキャリアを重ねる爽太。マスコミに「チョコレート王子」と騒がれ、独立して新たに始めた店も順風満帆。それもすべて、かつて自分の事をふった憧れのサエコさんを振り向かせるため。ブランド志向の彼女に見合う男に…決して安くない、悪い男にならないと。そんな想いをチョコにぶつけ、数々の作品を生み出してきた。そんな中、突如として現れたライバル店。チョコに対する圧倒的なポリシーを目の当たりにし、爽太の心に若干の変化が…!?
「このマンガがすごい!2010」オンナ編12位おめでとうございます。「黒薔薇アリス」(→レビュー)のほうがランクインするかと思ってたのですが、こちらでしたか。いやしかし、2巻に入ってますます面白いです。
~面白いけど心に何か別の感情も残る~
とりあえずこの作品を読む度に、面白いと思いながらもどこか気持ち悪いというか、スッキリしない感情が残るんですよね。それはサエコさんがものすごく肩すかしをしてくるキャラだからだったり、爽太がとにかく名前とは正反対のうじうじ君だからだったりするからなのですが、もっと大きな視点で見るならば、全てが整然としてないことが要因なのかな、と。色々な思惑や感情が混ざりあって、決して単純な構造に見せない。だからこそスッキリしないし、だからこそ面白い。まぁとりあえず爽太くん、どうしたいんじゃい、と。
~爽太のチョコへ向かう姿勢を変える、2つの出会い~
2巻では爽太のチョコレートに対する姿勢に、若干の変化が現れました。それが、ライバル店の出現と、同じ片想いを抱えるモデルの女の子との出会い。
それまではチョコへの情熱=サエコさんへの想いで、彼がショコラティエであることから、彼が生み出すチョコレートまでの全てが、サエコさんという存在によって構築されていました。しかしライバル店のショコラティエ・六道の出現によって、自分のショコラティエとしての自信が一気に揺るぎます。そんな六道を前にしたときの爽太の心境がこちら
この人すげえなぁ
完全に自分の世界を構築してる
俺みたいなピヨピヨのペーペーは
まず他人と戦わなきゃだめだろ
完全に自分の世界を構築してる
俺みたいなピヨピヨのペーペーは
まず他人と戦わなきゃだめだろ
サエコさんの喜ぶチョコを作りたい。そんなところが出発点だった爽太は、その自分の弱くて曖昧なビジョンを自覚させられ、落ち込みます。その後六道から、バレンタインにチョコが届くわけですが、その際のお返しとして作ったチョコは、完全に対六道でのチョコ。サエコさんへの想いは排除されました。今まで彼とサエコさんだけで完結していたところに、風穴が開いた形となります。とはいえ普段用のチョコはあくまでサエコさん向け。そう簡単に姿勢が変わるはずもありません。彼女の存在はやっぱり根深いし、何かしらの核となる代替物が見つかり、さらにサエコさんと決着がつかない限り、この状況は揺るがないでしょう。
~えれなの登場は結構大きいんじゃないかという~
それでも変化していく必要がある。そんな中採られる方法は、彼の中のサエコ100%というその純度を、下げていくこと。「恋はドロドロに汚れるものだ」というのがひとつのテーマになっているわけですが、1巻の時点ではあくまでサエコ100%で、また彼女と対峙する際はあくまでキレイな面のみ見せていた印象が強く、「全然汚れてないじゃん」と。それが2巻では汚れてきますよー。それがモデルのえれなの登場。パーティーで出会い、同じ難しい片想いを抱えていることを知り意気投合した二人は、その後肉体関係を持つようになります。その行為自体は別になんてことないと思うのですが、その後のチョコ作りがね、ハイ。彼はえれなのネイルアートからインスパイアされたデザインを、自分のチョコに採用します。この変化ですよ、この変化。今までは彼とサエコだけで完結していたところに、他者の存在が入ってくる。チョコは爽太の想いをそのまま体現する存在ですから、この変化は大きいですよ。汚れるってのはこういう事なのかな、と。この後どういった変化を見せていくのかはわかりませんが、えれなという存在はひとつのターニングポイントになりそうですね。
他にもえれなとの、ネイルは男ウケしないんじゃないかという会話にて…
「でもいいの!自分が好きでしてるし
それにあたしの仕事は女受けすることだから!」
「プロだね♡そういうのいいよ♡」
それにあたしの仕事は女受けすることだから!」
「プロだね♡そういうのいいよ♡」
じゃあ爽太はどうなの?と。六道もそうですが、プロってのはターゲットになる不特定多数を幸せにすることが目的なわけで、やはり現在の爽太とは、スタンスが決定的に異なります。同じ叶わぬ想いを抱えつつも、実は全然異なる二人。これからどういうケミストリーを起こしていくのか、やっぱり気になりますね。
最後に、薫子さんかわいいですよね、薫子さん。「寒い日の合コンは薄着しろ」というサエコさんの言葉を聞いた時の反応が「この子天才かもしれない!!」って。
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