
誰もが無理って言ってるからって
自分も無理って思ったら勝つことなんて出来ないよ
だから自分だけは信じなくちゃ
「できる」って
■ヒイラギ学園高等学校声優科。声優界の超名門で、高い倍率を勝ち抜いて入学してきた生徒たちの中には、在学中から声優として活動を開始する者も少なくない。声優デビューに一番近い学校…そんな名門に入学した、木野姫。大人気アニメ「ラブリー♡ブレザーズ」の主人公になる事を夢見、意気揚々と授業に出るも、気がつけば落ちこぼれ組に!?原因は、演技がヘタだったり、演じる声がダミ声だったり、そのくせ生意気だったり…。でも姫は、決して諦めない!嫌みなライバルに、頼りない仲間たち、そして輝かしい先輩たち…変わり者揃いのこの学校で、私は声優になるっ!!
アニメ化もされた「S・A」の南マキ先生の新作でございますー。今回も前作と同じ名門学校が舞台ではあるのですが、彼ら・彼女たちが志すのは声優。少し変わったネタでの、賑やかな青春バラエティとなっています。何やらこのネタの発端となったのは、「S・A」のアニメ化らしいですね。
ヒロインは声優志望の女子高生。幼い頃に出会った女性声優に憧れ、いつか自分もああなりたいと声優の道を志します。そんな彼女が入学したのは、声優界の名門校・ヒイラギ学園。多くの声優たちを輩出し、在学中の生徒も幾名かはすでにデビューを果たしているというすごい環境。そんな先輩たちに自分も続け!とやる気たっぷりにレッスンを受ける彼女でしたが、あろうことか演技がヘタで、演技声もダミ声という致命傷っぷり。入学早々に「ゴリ姫」とのあだ名が付けられてしまいます。そんな彼女と一緒につるむのは、同じクラスでも落ちこぼれの生徒たち。それぞれ欠点を抱えるも、声優への人一倍強い思いから一致団結。切磋琢磨していきます。

ヒロインの感受表現はとかくストレートなので、見ていて非常に気持ちがいい。こういうヒロインはそれだけでひとつの魅力。
演技がヘタでダミ声なヒロインですが、それでも名門校に入れたということは何かしら光るものがあるわけです。それが突如として現れる、素晴らしい男声。しかしいつ出るかも分からないし、なにより本人はカワイイ女の子の声がやりたいということで、なかなかマッチングが上手くいきません。そこは素直に男声路線で…と言ってやりたいところですが、それだと話がスムーズに進みすぎてしまいますし、何より気の強いヒロインらしくない。そこでライバルや、すでに成功している先輩というキャラを配置し、自分というものを見つめさせていく方向に持っていきます。基本的に負けず嫌いのヒロインと、複数いる競争相手。複数人で賑やかに回すのが売りの先生ですから、この措置はもう追い風一辺倒。非常にバラエティ豊かにお話を展開していきます。
「S・A」もそうでしたが、基本的には対象年齢がやや低めなのかな、という印象。声優ものとして成長していく姿をガチンコで描こうということではなく、あくまでテーマのひとつとして声優というものを使いたいという感じ。そのためどこか現実感に欠ける部分も登場しますが、それが結果的にこの作品の持ち味であるハッチャケ具合を助長しており、結果オーライ。また前作は何でもできる天才たちが主役を務めましたが、今回は落ちこぼれたちが主役と、その視点の変化も楽しめるということで、従来のファンからするとこれ以上ないというような出来になっているのではないでしょうか。上手いとは思わないけれど、楽しませ方は誰よりも心得ている。これも普通にアニメ化したら人気出そうだなぁ。
【男性へのガイド】
→安心の南マキクオリティ。「S・A」をご存知の方も多いでしょうし、それが好きだったのであれば、問題無く楽しめると思います。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→個人的にこの南先生の作品独特のごった煮感が苦手だったのですが、前作と違って今回は思いのほかスムーズに読めました。オススメするかの焦点はこれから面白くなるか、逆かなのですが、構成協力に5人も名前があるわけで、もうこれ以上落ちるってことはまずないだろう、と。
作品DATA
■著者:南マキ
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめCOMICS
■掲載誌:花とゆめ(平成21年14号~連載中)
■既刊1巻
■価格:400円+税
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