作品紹介はこちら→遊知やよみ「これは恋です」
遊知やよみ「これは恋です」(3)
勝ち誇るような
咲き誇るような
自信に満ちあふれた顔
■「私は綾井先生を見てきたので、あなたの遠藤さんに対する気持ちわかります。…間違ってませんよね?」綾の伽良への恋心が、花巻先生にバレてしまった!もう隠すことはできない。正直に花巻先生に打ち明け、同時に決して手出しはしないと誓った。誰にも言わないと約束してもらい、一安心の綾だったが、舞台をかき回すのは何も花巻先生だけではない。綾への気持ちを自覚し、想いを伝えようとする伽良に、辺名がまさかのナイスパス。徐々に綾の「本命」が誰なのか気づき始めて…どうする綾!?
~二人の傍観者~
まぁどうしてこうもときめく話を描くんですかねぇ。これ、女性陣はどういう感情移入の仕方で読んでるのでしょうか。男はまず綾視点で、時折辺名視点って感じだと思うのですが。さて、気がつけば二人は両思いというところにまで来ています。しかし二人は教師と生徒で、しかも性格は至って真面目。となるとある程度の勢いと、誰かの手助けなしには事態は進展してくれません。2巻では壁となった花巻先生ですが、綾にその気がないと見るやしっかりと自分の気持に決着をつけ、辺名と同じ傍観者の立場につくようになります。しかしこの二人、同じような位置にいながらも、果たす役割はまるで違う。特に辺名の後ろに見え隠れする、作者の意思が、とにかく楽しいです。
~辺名はすごく大事な役どころ~
綾と伽良が、ふたりとも真面目サイドの人間であるが故に、誰かの手助けや後押しがないと進展しないということを書きましたが、その手助けをする役目を担っているのが、他でもない辺名。変人という設定で、必要以上に物語の世界に染まらず、果ては全ての状況を見通しているような発言まで(実際見通していると思われ)。言ってみれば彼は、作者の意思通りに物語を動かす手先みたいなもので、2巻では伽良へのナイスパスに綾への絶えないキラーパスなど、その活躍っぷりが光ります。ふつうこういうキャラがいると、いやでもその存在感が増してウルサくなってしまうのですが、この作品では変人というラインに留まりながら自然に物語の中に存在しています。この絶妙なさじ加減を生み出していたのは、恐らく辺名が決して自分から物語に介入することなく、あくまで向こうから頼ってきた時にのみ手を差し延べていたから。だからこそ物語のバランスが、手を加えつつも崩れることなく保たれていた、と。ほら彼が絡むのは、校長先生や生徒たちなど、それほど本編と関係ない相手が多くないですか?
~絶妙な距離感~
でそんな中、2~3巻では辺名が自ら花巻先生に接近するわけですが(胸を貸しましょうか)、実はそれも彼女がフラれた後で、直接物語の本筋に絡んでくるような場所での接近ではなく、ここでもそのラインは保たれています。いやぁ、いい役ですよ、辺名先生。だからこそ彼は、綾に自発的なエールを送れないわけですが、その代わりに花巻先生がその役目を務めるのかな、という気も。やけに計算されたような配置でありながら、決して作られた感は出さないあたりが、なんとも言えません。
今回のレビューでは肝心の綾と伽良のことについて書かなかったのですが、もうね、アレコレ言わずに続きが読みたいってアレですよ。
■購入する→Amazon
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勝ち誇るような
咲き誇るような
自信に満ちあふれた顔
■「私は綾井先生を見てきたので、あなたの遠藤さんに対する気持ちわかります。…間違ってませんよね?」綾の伽良への恋心が、花巻先生にバレてしまった!もう隠すことはできない。正直に花巻先生に打ち明け、同時に決して手出しはしないと誓った。誰にも言わないと約束してもらい、一安心の綾だったが、舞台をかき回すのは何も花巻先生だけではない。綾への気持ちを自覚し、想いを伝えようとする伽良に、辺名がまさかのナイスパス。徐々に綾の「本命」が誰なのか気づき始めて…どうする綾!?
~二人の傍観者~
まぁどうしてこうもときめく話を描くんですかねぇ。これ、女性陣はどういう感情移入の仕方で読んでるのでしょうか。男はまず綾視点で、時折辺名視点って感じだと思うのですが。さて、気がつけば二人は両思いというところにまで来ています。しかし二人は教師と生徒で、しかも性格は至って真面目。となるとある程度の勢いと、誰かの手助けなしには事態は進展してくれません。2巻では壁となった花巻先生ですが、綾にその気がないと見るやしっかりと自分の気持に決着をつけ、辺名と同じ傍観者の立場につくようになります。しかしこの二人、同じような位置にいながらも、果たす役割はまるで違う。特に辺名の後ろに見え隠れする、作者の意思が、とにかく楽しいです。
~辺名はすごく大事な役どころ~
綾と伽良が、ふたりとも真面目サイドの人間であるが故に、誰かの手助けや後押しがないと進展しないということを書きましたが、その手助けをする役目を担っているのが、他でもない辺名。変人という設定で、必要以上に物語の世界に染まらず、果ては全ての状況を見通しているような発言まで(実際見通していると思われ)。言ってみれば彼は、作者の意思通りに物語を動かす手先みたいなもので、2巻では伽良へのナイスパスに綾への絶えないキラーパスなど、その活躍っぷりが光ります。ふつうこういうキャラがいると、いやでもその存在感が増してウルサくなってしまうのですが、この作品では変人というラインに留まりながら自然に物語の中に存在しています。この絶妙なさじ加減を生み出していたのは、恐らく辺名が決して自分から物語に介入することなく、あくまで向こうから頼ってきた時にのみ手を差し延べていたから。だからこそ物語のバランスが、手を加えつつも崩れることなく保たれていた、と。ほら彼が絡むのは、校長先生や生徒たちなど、それほど本編と関係ない相手が多くないですか?
~絶妙な距離感~
でそんな中、2~3巻では辺名が自ら花巻先生に接近するわけですが(胸を貸しましょうか)、実はそれも彼女がフラれた後で、直接物語の本筋に絡んでくるような場所での接近ではなく、ここでもそのラインは保たれています。いやぁ、いい役ですよ、辺名先生。だからこそ彼は、綾に自発的なエールを送れないわけですが、その代わりに花巻先生がその役目を務めるのかな、という気も。やけに計算されたような配置でありながら、決して作られた感は出さないあたりが、なんとも言えません。
今回のレビューでは肝心の綾と伽良のことについて書かなかったのですが、もうね、アレコレ言わずに続きが読みたいってアレですよ。
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