
トーゼンだろ
俺は不思議の国のアリスなんだからな
■夢を捨て、過去を捨て、名前を捨てた少年が迷い込んだのは「不思議の国」。過去のことをまったく覚えていない彼に与えられたのは、「アリス」という名前。何もわからぬまま、怪しげな帽子屋とチェシャ猫に導かれ、辿り着いた先はハートの女王の前。そしてとあるゲームに参加させられることになる。「白ウサギを殺すこと」目的はそれだけ。ゲームのルールとハートの女王の命令に縛られ、常識の一切通用しないイカレた物語のなかで、冷たく光る銃を手に取ったアリスの運命は…!?
人気ドラマCDのコミカライズらしいのですが、あらまし紹介で内容わかりました?いや、たぶんわからないと思うんですよ。私は1巻読んだ時点でも、さっぱりわからないというのが正直なところ。とりあえず明白なのは、童話「不思議の国のアリス」をモチーフにした、スタイリッシュで不条理なゲームの展開を描いた作品であるということ。主人公は、なにやら暗い過去を持っていたらしい少年。そんな過去を捨て、迷い込んだのが「不思議の国」。アリスという名前が与えられたということ以外は、何もわからない。そんな彼が、怪しげな帽子屋に導かれるままに、ハートの女王の命令で参加させられることになったのが、「白ウサギを殺すゲーム」。ゲームでの“あがり”は、白ウサギを見つけ出し、殺したとき。しかしそれができるのは、「アリス」のみ。不思議の国の住人に、それぞれ役割が与えられた上で、アリスは白ウサギを探す。そこから見えてくる、彼の過去と想いとは…とかいう感じなのかな。

存在理由を交換条件に、アリスはこのゲームに参加する。登場人物たちはみな役割を持った駒である。
全体像が見えないままに勝手に話は進み、いつのまにやらゲームに参加させられているという不親切さに加え、ストーリーはかなりの不条理さを含んでおり、かなり読み手を選ぶような作り。主人公は過去を捨てたという前提があり、その上で迷い込んだ「不思議の国」で、自分の存在理由と居場所を探します。結局自分の存在意義であるとか、居場所について考え苦しむみたいなところに落とされるのかな、という印象があると同時に、舞台が舞台だけにかなり壮大な広がりを持って展開される可能性も、もしかしたらありそう。たぶん十中八九前者だと思うのですが…というか、序盤でハマれる人なんてそういうところに魅力を見出してなきゃ、絶対に無理だと思うんですよね。どちらにせよ個人的にはあまり興味がないのですけれど。
原作を知らない読者は果たしてどれだけついていけるのか。基本的には原作を知っていて、ある程度世界観であるとか、各キャラの役割を知っているような向けなのだと思います。原作はどうやらかなりの豪華声優陣を起用しているようですが、それが通用しないコミックという枠で、どれだけファンを獲得していけるのか興味が湧きますね。表紙でわかるかと思いますが、絵はかなりスタイリッシュ。それだけで惹き付ける力があるようにすら思えます。
【男性へのガイド】
→この独特の世界観にハマる人ももしかしたらいるのかもしれませんが、男性向け要素も薄い上に、このキャラ構成だとどうだろう、と。
【私的お薦め度:☆ 】
→原作ファンもしくは絵担当の方のファンが楽しむ用かなぁ。この作りはあまりに不親切すぎる。すでに買うべき人は買っているはずですし、オススメするって性格の作品ではないかと。評価が低いってわけじゃないです、はい。
作品DATA
■著者:片桐いくみ/二宮愛
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZERO-SUM(平成21年7月~連載中)
■既刊1巻
■価格:552円+税
■購入する→Amazon