
なんかさ…
あんなヤツばっかいんのかな?
どんなとこなんだろーな
■2巻発売です。
時は1863年、吹き荒れる革命の風に、世はまさに幕末乱世の様相を呈してくる頃。商家の息子と、その家で育てられた二人の少年・壱陽と朱彦は、日々剣道で剣の修行に勤しむ毎日。血の繋がりはないけれど、ずっと同じ時を過ごし、今では兄弟のような関係。そんなある夜物音に目が覚めた二人は、蔵に盗人が入っているのを見つける。逃走劇を経て、なんとか盗人を追いつめた二人だったが、盗人は真剣を取り出し、二人は絶体絶命のピンチに…!そんなピンチを救ったのが、通りすがりの酔っぱらい男。掴みどころのない彼は、新撰組の一番隊隊長・沖田総司と名乗ったが…!?
幕末の動乱の端で、密かに奮闘していた二人の少年を描いた歴史もののスタイリッシュアクション作品でございます。主人公は二人…なんですが、1巻の表紙が壱陽オンリーなので、彼の方がメインなのか?と勘ぐってしまうことも。いや、たぶん二人が主人公です。賞家で育てられ、兄弟同然に育った壱陽と朱彦。道場で剣の修行に励むも、盗人騒動や沖田総司の剣技を目の当たりにして、さらに広い世界を意識するようになります。そんな中、突然京へのお使いを頼まれ、旅立つことに。体面はお届けものですが、これにはどうやらあるようで、盗人が入ったこともそれが関連している…らしい。そのことについて家人は「壱陽を逃がす」という表現をしており、彼がなにやら鍵を握っているようなのですが、それは話が進んでいくと共に明らかになっていきます。

幕末の志士たちに出会い、徐々にその視野を広げていく二人。やがて自らも、その流れにその身を投じていくこととなる。
要所要所で現れる、幕末の動乱に活躍した偉人たち。発端となったのは沖田総司ですが、他にも様々登場します。基本的には史実に則ったストーリー展開がなされると思うのですが、そんな中にこのオリジナルの二人が乱入し、活躍していくという方向であると思われます。ゼロサムというとやや腐向けで、そんな中での新撰組ということですから、もう鉄板のネタですよね。しかし同時に食傷気味でもあるわけで、評価のハードルはやや上がってしまいます。そんな中オリジナルの二人を投入し、そこ視点で話を進めていくというのは、選択肢としてはお上手。しっかりと他の新撰組ものと差別化がなされています。登場人物のキャラやフォルムも親しみやすく、とっても読みやすいですね。
作者さんは前にご紹介した「Are you Alice?」(→レビュー)の絵を担当なさっている方なのですが、絵の雰囲気が全く異なっており、ただただ感動。しっかりと世界観に合わせて変化させてくるあたり、プロのすごさを感じます。
【男性へのガイド】
→腐向けに手直しされた、トンデモ新撰組物語…ということにはなっておらず、それなりに読みやすさは保証。少年の存在をどう見るかですかね。ちょいと青臭いのがどうかっていう。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→ストーリーの全容が明らかになって初めて、その魅力が最大限発揮されるのでしょうが、それ以前のキャラ描写でのひっぱりだけでもそれなりに楽しめる内容になっております。インパクト不足は否めないけれど、こういう作品が好きな人は問題無く楽しめると思います。
作品DATA
■著者:片桐いくみ
■出版社:一迅社
■レーベル:ZERO-SUMコミックス
■掲載誌:ZER-SUM WARD(平成20年vol.1~)
■既刊2巻
■価格:各552円+税
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