
これでマネーゲームに参加してやるわ!
自由な人生を取り戻すために
■誰もが目を奪われる、琥珀色の髪を持った少女・琥珀幸、高等部1年。両親を亡くした彼女を引き取った叔父の意向で、財界トップの子女たちが集まる帝都学院に入学したものの、まもなく叔父が破産。幸にも1億円の借金が降りかかってしまう。どうにかして返そうと、必死に考えをめぐらせる彼女だったが、なかなか妙案は出ない。そんな彼女の元に、一通の招待状が。ゲームマスターと名乗る、学院の実力者・銀雨音の誘いによると、その「秘密のゲーム」に参加すれば大もうけができるという。参加費として必要な100万円の代わりに、その美しい琥珀色の髪を差し出し、「秘密のゲーム」に参加することを決めたが…!?
少女漫画版・ライアーゲーム。この説明が一番端的で、内容を捉えていると思います。ヒロインは、早くに両親を亡くしてしまった少女・琥珀幸。誰もが振り返るような美しい髪を持つ彼女はその後叔父に引き取られ、せめて金持ち相手に琥珀家の名でも上げてこいと、追い出し目的も半分に、財界の子女たちが集まる名門・帝都学院に入学させられます。しかし間もなく叔父が破産。彼女にも、1億円の借金が課せられてしまいます。どうにかして返済をしなくてはいけないわけですが、何かツテがあるわけでもなく、幸は呆然。そんな中、彼女の元に、マネーゲームへの招待状が届きます。主催者は学院の有力者・銀雨音。参加者は生徒。皆100万円の参加費を払い、ゲームに参加。勝てば参加費とレートに応じた賞金がもらえるようになっており、ヒロインもその美しい髪の毛と引き換えに、その秘密のマネーゲームに参加することを決めます。

運任せでなく、しっかりと頭を使って勝負をする。あくまで低年齢層にも理解できるラインで。そのさじ加減が難しい。
ルールとしては、参加費が掛け金の全てになり、いくら負けても最大の損失は100万円までになるようになっています。故に「ライアーゲーム」や「カイジ」のように、命を賭したり、負ければ億単位の借金を背負ったりということはありません。その辺が、低年齢向けの少女漫画のギリギリのラインになるわけですが、筋書きは非常にしっかりしており、それでもなかなか白熱しています。
1巻で描かれるのは1対1の対戦で、各ヒントから学院の生徒の告白の結果を予想するというもの。ヒントはそれぞれ11つ用意されており、双方が欲しいヒントに入札し、高い値段を示した方がそのヒントを購入することができるようになります。ヒント購入に使えるのは、参加費の100万円を超えない範囲。両者が同じ答えを導き正解した場合は、所持金の多かった方が勝ちで、賞金100万円を手に入れることができるようになります。お題が「告白の結果」ということで、「かなり不確定要素が多い賭けだなぁ。論理バトルはほとんどなし、心理戦もそこそこで、運の要素が大きいのか…。」などと心配だったのですが、その辺はしっかりとゲームにフィットするような短絡的な心理描写・状態描写にしてあり、論理バトルは少ないものの、しっかりと濃密な心理戦を楽しむことができます。たぶん論理要素を強くしても、対象読者は理解できないという側面も大きいのでしょう。エッセンス的には、少年誌にあるような探偵ものの推理のそれに似ており、低年齢でも受け入れられるようにしっかり作っているな、と感心。
賞金は100万円ということで、単純計算であと99回勝利を重ねなくてはいけないわけですが、そんなことはまずないわけで(連載的に)。2回戦以降は掛け金が増えていくか、もしくは参加者が複数入り乱れてのバトルになるはずです。これからどんなゲームが用意され、どんな規模で展開していくのか、楽しみ。果たして制約が多い中で、どれだけのアイデアが出せるのか、注目してみたいですね。
【男性へのガイド】
→ゲーム性のみを追求するのであれば、「ライアーゲーム」や「カイジ」を読んでおけばいい話。制約の多い少女漫画という枠で、これだけやっているんだという視点から見ていただければ、より話を楽しむことが出来ると思います。絵も可愛いしね。
【私的お薦め度:☆☆☆☆ 】
→2番煎じと言われようが、似ていると言われようが、低年齢向け少女漫画でこういう話を選び、かつしっかり少女漫画(というか「なかよし」)にフィットさせ、機能させてきたところを評価したい。これからどういう風に話が転がるのか、注目です。
作品DATA
■著者:桃雪琴梨
■出版社:講談社
■レーベル:KCなかよし
■掲載誌:なかよし(2009年9月号~連載中)
■既刊1巻
■価格:419円+税
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