
そうだったね
キスは好きな人と
本当はするものだものね
■読切り4編を収録。というわけで表題作をご紹介。
ユメだった初めての彼氏は、付き合った途端妙にヤル気満々でダメになって…ちょーなかよしだった友達たちも、彼氏ができた途端付き合いが悪くなった。なんなんだっつーのよ、カレシカレシって!!青山古都17歳、絶賛人間フシン・恋愛フシン中。そんな中、古都のとなりに転校してきたイケメンハーフのリリーちゃん。フレンドリーかつジェントルマンに接してくる彼に、頑だった古都の心は少しずつ溶けはじめて…!?
ドキドキいっぱい、ときどきH、ちょっぴりオトナなお話を4編収録した短編集でございます。初コミックスの割にかなり絵が出来上がってるなぁ、と思ったら、どうやら通算では4作目らしいですね。姫加戸りかという名義で、BL作品を発表していたみたいです。他にもTL作品を少々…ということで、そちらの雰囲気を感じさせる、ちょっとエロティックでオトナなストーリーが収録されています。どれもノリが軽めの生徒が多い高校が舞台で、それゆえにエロ話が入ってこざるを得ないという状況からの展開。こういった舞台設定というと、同じくTLからの進出で人気を獲得している葉月かなえ先生を思い出すのですが、これがTLスタンダードなんですかね?

キスはゴールにならない。あくまで通過点的扱いで、なんとなくオシャレで時にエロい。その辺もそこらへんの少女漫画とは一線を画す。
エロ要素ありといっても、こちらはデザートではなくマーガレット。あくまで少女漫画の王道路線を突き進まなくてはなりません。ということで、描写というか表現自体はかなりライト。話の中にそういった話題が混ざってくるという程度で、実際に行動に移したりみたいなことはほぼありません。言ってみれば、そういったノリのある舞台での恋物語を楽しんでみませんか?というコンセプトだと思うので、そこはしっかり認識した上で読み始めるのが良いかもしれませんね。こういったノリが受けるのかはわかりませんが、同じ方向に凝り固まった別マと違い、新條まゆ先生の投入などをはじめ、やや作品の幅が広い印象のあるマーガレットでならば、ある程度受け入れられる余地はあるのかもしれません。
ストーリー的には、抑圧や我慢をしているヒロインが、耐えきれず内面を泣きながら吐露することで、真の理解が得られる…みたいな展開が多く、前半とのノリの違いにややとまどったり。このことを作者さんはあとがきで「若干説教臭い」という表現をされてましたが、なるほど。新人さんと違いすでに話の描き方は心得ているので、安定感は抜きん出ています。あとはこのノリが合うか合わないかの問題かと。
【男性へのガイド】
→端々に感じる、TLの影響。基本的に極端に女性に向けたジャンルで描いていた作家さんで、そこからの影響が多少なりとも出ているわけですから、男性にはどうだろうという。
【私的お薦め度:☆☆ 】
→各話非常にまとまっていて読みやすかったのですが、それが逆に作用したのか、あまり印象に残らなかったというか。たぶん元々のノリが合わなかったのかな、と。
作品DATA
■著者:梨花チマキ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット(平成21年No.20),ザマーガレット(平成20年10月号,平成21年4月号,9月号)
■全1巻
■価格:400円+税
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