
でもときどき
泣きたくなるのは何故だろう
■『ボクを拾ってください』
10年前、公園で拾った男の子・岳。不安そうで、とっても頼りなかった彼は、今ではドキドキするほどカッコよく成長した。ずっと兄弟として過ごしてきたオレたちだったけど、最近、岳を見てると何だかとっても泣きたくなってきてしまう。この気持ちは一体なに!?「だって兄弟だし」「兄弟じゃない」そう友達に言われた葵は…!?
ショタショタですよ、ショタショタ。というわけで、タカハシマコ先生のBL作品でございます。これずっと持ってたんですけど、全然読んでなかったんですよね。この度BL作品のレビューも一部開始したということで、年末の本棚の整理も兼ねてご紹介致します。初版発行は2002年11月…ということは7年前の作品。収録されているのはさらに前に掲載された作品で、大体2000年前後と、ほぼ10年前の作品群になります。けれども全然古く感じない。タカハシ先生比較でいけば、多少なりとも変化はしているのですが、少女漫画家さんとかで10年とかスパン開くと、もう別人のような絵になってることなんてざらなんですよね。それがないってことは、やっぱりこの先生は独特の絵の魅力を持っていらっしゃるのだな、と。

この耳当てといい、なんじゃこれ。かわいらしさを前面に打ち出す。
読切り7編が収録。どれもショタショタな男の子が登場する、かわいさたっぷりのお話たちです。エロに関しては、書き下ろしでひとつセックスを匂わせるシーンがあるくらいで、他はせいぜいキス止まりと、比較的プラトニック。いやこれであられもない方向に流れてたら、ちょっとビビっちゃうのですけど。どれも前提として、「男の子が好きでもさほど抵抗がない」みたいなものが感じられて、「男相手なんて、絶対にありえない!!!!」的な必死さは全然出てきません。それがBLのパラダイム転換のミソでもあるわけで、この辺は実に上手いなぁと。加えてショタっぽさが、恋愛対象としての「好き」と、セックスを意識しない段階での「好き」の両方を感じさせ、よりスムーズな流れを作り出しているようにも映りました。そのぶんカワイさ先行で、恋愛からくる感動や切なさは削がれているのですが、そこまでそちらには期待していないでしょうし、これで十分なのかな、と。
男としては、どうなんでしょう。読めなくはないけれど、別にこの作品をこぞって読む必要性は感じないというか。可愛いので、先生のファンの方はそれなりに満足なのでしょうが、そうでなければスルーしても構わないかな、という印象でした。というかAmazonでももうマーケットプレイスにしか置いてないし、手に入れるのが結構大変なんですかね?このレビューの意味は…!?
【男性へのガイド】
→タカハシ先生のファンの方は、作品をカバーするという意味で買いかも。あからさまな表現はないぶん、温かみのある話が多く読みやすいですが。
【私的お薦め度:☆☆☆ 】
→お話だけみるならば、温かいけどひっかかりがあまりなかったという感じ。かわいいってだけで個人的には勝ちでもあるのですが。
■作者他作品レビュー
*新作レビュー*桜庭一樹/タカハシマコ「青年のための読書クラブ」
*新作レビュー*タカハシマコ「デビルくんとエンジェルちゃん」
*新作レビュー*タカハシマコ「乙女座・スピカ・真珠星」
作品DATA
■著者:タカハシマコ
■出版社:芳文社
■レーベル:花音コミックス
■掲載誌:花音(2000年5月号,2002年4月号),花音SPICE(1998年vol1,1999年vol4),スパイス(2000年vol.1),Bis(1998年②),MAXシリーズ(2002年vol.16)
■全1巻
■価格:562円+税
■購入する→Amazon