作品紹介はこちら→藤村真理「少女少年学級団」
関連作品レビュー→藤村真理「学級×ヒエラルキー」
藤村真理「少女少年学級団」(4)
健兄のこと好きじゃなくなればいいんだ
そうすればもう
しっともしなくて
苦しくもならないハズなんだ
■4巻発売しました。
健を想う、自分以外の存在を知った遙は、次第に嫉妬の気持ちを知るようになる。そのことを自覚した遙は、こんな気持ちなくなれば良いのにと、強く想うようになる。そして遙がとった行動とは…カズと付き合うこと。思わぬタイミングでカズから好きだという気持ちを聞いたとき、自分も好きだと返答。周りにそれを聞かれ、付き合うことになったのだった。それを知った渡の反応は、そして健兄の反応は…?
~まさかの展開~
まさかの展開ですよー。自分の心のざわざわを抑えるために、遙がとった行動は、頼れる存在・カズと付き合うこと。タイミングがあったとはいえ、このことは当事者同士も全く予想していませんでした。しかしカズは元々遙が好きだったので、結果オーライ。一方の遙はというと、心のざわざわは収まることはありません。そんな遙を見て、カズは遙の気持ちを察します。そしてそのことを渡に伝えたところ…?という感じで進むのですが、いやまさかカズが行くとは。
~日常ではなく、あくまで恋愛~
それにしても相変わらず、面白さキープですよ。こういった物語は、小学生をメインに据えるからこそ出来るわけで。はなしを読んでいると、藤村先生は、既存の小学生像に恋愛というエッセンスをふりかけ、「恋愛によって変化していく、思春期手前もしくは入り立ての小学生たち」を描くことにこだわりを持っているように思えます。小学生の日常というよりは、恋愛によって変化していく小学生。それは、物語の前後にしばしば挟み入れられるモノローグが、ほとんど恋愛関連のことであることからも読み取れるのですが、3~4巻では、変化していく子供たちの様子が、今まで以上にハッキリと描かれているように思いました。
~健兄との関係性で顕著な、その変化の様子~
この作品の軸とも言えるのが、健兄の存在です。迷いながら進む子供たちに、常に進むべき道を提示してくれる、憧れの頼れるお兄さんという。それは遙をはじめ、渡やカズなどの間でも共通認識として存在していました。健兄の言うことは絶対で、健兄なら何とかしてくれる。いわば彼が、子供たちのホームベース的存在だったと言えるのです。しかし恋をするようになってから、その関係に変化が。遙は健兄を恋愛対象として意識するようになり、徐々に頼れるお兄さんという認識は薄まってきます。3巻では…

嫉妬からこんな行動まで。今までだったらありえない行動です。恋を経験することで、確実に変わっていっているのです。
そして4巻では、渡が…
遙が好きな相手が、健兄であると知った渡。今までは理想の存在として、その全てを聞いてきた彼でしたが、ほぼ初めてぐらいに、兄を拒絶しました。それは、理想の兄ではなく、恋のライバルとして兄を認識したから。同じ土俵に上がってこられちゃあ、やってられなくなるわけですよ。だって絶対に敵わないと思ってるんですもん。しかし2巻連続で自分を信頼してくれてると思っていた相手に拒絶されちゃう健兄、結構かわいそうです。でも兄心としては、子供たちにはいつまでも変わらないでいてほしいというか、変わらないものだと思っちゃうものなんですよね。
さて、5巻ではどういった展開になるのでしょうか。いっちょまえに好きだなんだってやってますが、やっぱり小学生なわけで、イベントはなかなか微笑ましく、そして残酷です。あったなぁ、女子の団結による、異分子の排除や抑制。こわいこわい…
■購入する→Amazon
/
bk1
関連作品レビュー→藤村真理「学級×ヒエラルキー」

健兄のこと好きじゃなくなればいいんだ
そうすればもう
しっともしなくて
苦しくもならないハズなんだ
■4巻発売しました。
健を想う、自分以外の存在を知った遙は、次第に嫉妬の気持ちを知るようになる。そのことを自覚した遙は、こんな気持ちなくなれば良いのにと、強く想うようになる。そして遙がとった行動とは…カズと付き合うこと。思わぬタイミングでカズから好きだという気持ちを聞いたとき、自分も好きだと返答。周りにそれを聞かれ、付き合うことになったのだった。それを知った渡の反応は、そして健兄の反応は…?
~まさかの展開~
まさかの展開ですよー。自分の心のざわざわを抑えるために、遙がとった行動は、頼れる存在・カズと付き合うこと。タイミングがあったとはいえ、このことは当事者同士も全く予想していませんでした。しかしカズは元々遙が好きだったので、結果オーライ。一方の遙はというと、心のざわざわは収まることはありません。そんな遙を見て、カズは遙の気持ちを察します。そしてそのことを渡に伝えたところ…?という感じで進むのですが、いやまさかカズが行くとは。
~日常ではなく、あくまで恋愛~
それにしても相変わらず、面白さキープですよ。こういった物語は、小学生をメインに据えるからこそ出来るわけで。はなしを読んでいると、藤村先生は、既存の小学生像に恋愛というエッセンスをふりかけ、「恋愛によって変化していく、思春期手前もしくは入り立ての小学生たち」を描くことにこだわりを持っているように思えます。小学生の日常というよりは、恋愛によって変化していく小学生。それは、物語の前後にしばしば挟み入れられるモノローグが、ほとんど恋愛関連のことであることからも読み取れるのですが、3~4巻では、変化していく子供たちの様子が、今まで以上にハッキリと描かれているように思いました。
~健兄との関係性で顕著な、その変化の様子~
この作品の軸とも言えるのが、健兄の存在です。迷いながら進む子供たちに、常に進むべき道を提示してくれる、憧れの頼れるお兄さんという。それは遙をはじめ、渡やカズなどの間でも共通認識として存在していました。健兄の言うことは絶対で、健兄なら何とかしてくれる。いわば彼が、子供たちのホームベース的存在だったと言えるのです。しかし恋をするようになってから、その関係に変化が。遙は健兄を恋愛対象として意識するようになり、徐々に頼れるお兄さんという認識は薄まってきます。3巻では…

嫉妬からこんな行動まで。今までだったらありえない行動です。恋を経験することで、確実に変わっていっているのです。
そして4巻では、渡が…

遙が好きな相手が、健兄であると知った渡。今までは理想の存在として、その全てを聞いてきた彼でしたが、ほぼ初めてぐらいに、兄を拒絶しました。それは、理想の兄ではなく、恋のライバルとして兄を認識したから。同じ土俵に上がってこられちゃあ、やってられなくなるわけですよ。だって絶対に敵わないと思ってるんですもん。しかし2巻連続で自分を信頼してくれてると思っていた相手に拒絶されちゃう健兄、結構かわいそうです。でも兄心としては、子供たちにはいつまでも変わらないでいてほしいというか、変わらないものだと思っちゃうものなんですよね。
さて、5巻ではどういった展開になるのでしょうか。いっちょまえに好きだなんだってやってますが、やっぱり小学生なわけで、イベントはなかなか微笑ましく、そして残酷です。あったなぁ、女子の団結による、異分子の排除や抑制。こわいこわい…
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